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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   吉川のパスは(感)   ポッター

 冬に例年にない走り込みをして、今年こそは優勝を、と団結を強めていたのだが、三年の夏休みを前にした暑い午後、宗介はコーチの浅野に退部を申し出た。前日、夏休みの練習計画が浅野から発表されたのだが、毎日朝九時から夕方六時まで練習メニューが決められ、休みは一日もなかった。吉川という天才的な選手を得て、都大会優勝は今年を逃しては当分無理だ、と読んだ浅野の決意の表れた計画表だった。
 宗介の学業成績は、もう少し頑張れば進学校といわれる都立高校に手が届く程度のものだった。ドリブルしながらフェイントをかけるとき、どうにもならない生来の体の硬さをよく知っていたので、サッカープレイヤーとして一人前になれないことは分かっていた。夏の勉強に参加すれば受験勉強ができなくなる。私は、この気持ちがよくわかった。確かに、自分の信念を貫き通すことは良いことだと思う。
 一つ目の理由は、自分の意見を貫き通せば悔いが残らないし、それなりに頑張ろうと思えるからだ。
 私は自分の意見を貫き通さないと済まない方で、たまに「無理が通れば道理が引っ込む」ことになってしまう。しかし、みんなで考えるときは少し相手の意見も聞き入れる。
 私が小学校六年生のとき、学校行事の「富士っ子フェスティバル」というので、出し物を何にするか案を採っていたことがある。(一年くらい前なのであまり覚えていないが)私のクラスでは‘お化け縁日’をしようということで、五つ程の出し物を出そうと考えていた。出た案はとても沢山あって、黒板が真っ白に染まってしまう(?)ほどだった。その中で私が考えたのは、「火の玉ストラックアウト」、「骸骨ボーリング」、「ドクロ釣り」、「恐怖の幽霊叩き」(この他にももっとあったが)などであった。特にこの四つは人気があって、私もなんとかしてこの四つをやりたかった。しかし、「骸骨フリースロー」や「Sasuke〜肝試しヴァージョン〜」など、他の案も結構人気があって、少し押され気味でもあった。「絶対にやる!」と燃えていた私をみんなも応援してくれて、なんとか「ドクロ釣り」と「恐怖の幽霊叩き」はやることができるようになった。
その後、追加ゲームで、「火の玉ストラックアウト」と「お化けペイント」でどちらを採用するか選ぶことになった。「チャンス!」と思った私は火の玉の良いところを言いくめた。ペイントの反対意見は見方の男子や数人の女子が言ってくれて、なんとか火の玉もできるようになった。このとき、とてもスッキリしたのを今でも覚えている。残念ながら「骸骨ボーリング」は出来なかったけれど、五つの出し物、プラス追加ゲームの六つの中で、私の考えたゲームが三つ採用されたことはとても嬉しかった。「だめもと」でも諦めないでやってみる、そうすれば、きっと悔いは残らないとこのとき思った。
 二つ目の理由は、自分の意見を言わなければ、他の人の意見に流されてしまうからだ。以前にも似たようなことを書いた気がするが、他人の意見に流されるのは一番嫌なことだ。そのときは良くても、「いつまでも一緒」というわけにはいかない。
 例えば、小さい頃から一緒に遊んだり勉強したりしている親友同士でも、高校に上がればこれからの将来や進路のことを、嫌でも考えなければならない。そして、どちらかが美容師になろうと思っても、もう一方も一緒、というわけにはいかないのだ。とくにこのような場合、今までどちらかが一方に合わせてきた、というのが一番ややこしい。「今まで一緒だったのだから、これからも一緒が良い」と言うこともなくはない。しかし、持っている才能は一人一人違うのだ。勉強が得意、運動が得意、絵が得意、何かモノを作ったり、育てることが得意…。それぞれに得意不得意があるように、一人一人が持ち合わせている才能も違う。その才能を生かす為には、「自分」を作ることが大切だと思う。「人についていく」のは、「見せかけ」だけの自分でしかない。他人に流されない、自分の意見がはっきり言える、そんな自分を作る為に、自分の信念を貫き通すことが大切なのだと思う。
 確かに、自分の信念や意見を貫き通すことだけ考えていると、周りのことが見えなくなったり、自己中心的になってしまうことがある。しかし、これからは自分の才能を表し、見せつけること、つまり、自分をアピールすることが重要なことになってくると思う。高校受験や大学受験、その他いろいろな場面でも、「自分の存在」という種を相手の中に植え付け、大きなモノにしていく。それが、大切なことだと私は思う。

   講評   inoko

 ポッターさん、こんにちは。自分の意見を通すということについて、以前別の課題のときにお話ししたことがありましたね。中学生という年代は、とても難しい年代です。子どもでもなく、もちろん大人でもない。人と同じでなければ安心できないような気持ちと、「私は私」という気持ちの両方が心の中にあって、自分でもどうしていいかわからなくなることがある。そのアンバランスな状態が、反抗期の一つの原因でもあるのかもしれませんね。今は修業のとき。自分の考え方というものを確立させ、それを周囲に理解してもらえるような術をだんだんに身に付けていくことも大事なことですね。
☆ 引用できそうな名言 →「自分が立っている所を深く掘れ。そこからきっと泉が湧きでる。」 意見を貫き通すということに関連づけられそうですよ。

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