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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   言葉の融合   れもん

 「祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」「祗園精舎の鐘の響きは、この世の全てが変化・流転するという真理を告げ知らせた。シャカが亡くなった時、聖木である沙羅双樹の淡黄色の花が白く色あせて、勢い盛んな者も必ず衰えるという真理を示した。」これら二つは、いずれも平家物語の冒頭部分である。さて、前者と後者、どちらがあなたには分かりやすいだろうか。おそらく、ほとんどの人が後者を選択するであろう。しかし、どちらが美しいかと考えたとき、何か前者のほうが感覚として、美しいと感じてしまう。このように、現代の日本語と、昔の日本語を比べても、大きな差がある。これは、日本語が時代を渡り歩くと共に、少しずつ変化していった証拠であろう。今、普段の生活の中で、昔の江戸時代のような言葉遣いをしていたら、やはり、おかしい。しかし、今の世の中には、不思議なことに、若者にしか分からない日本語があり、「ら抜き言葉」が自然に使われているという現象が起こっている。一体これらは、放置していて良いものなのだろうか。
 まず、言葉はコミュニケーションの上で成立しているものなのだから、気にしないという意見がある。相手と意思疎通が成立したなら、それが如何なる形の日本語であれ、充分に言葉の意義を果たす、というものである。確かに、若者の言葉だって、好意的に捕らえれば、本人たちが、言葉を自由に工夫した形である。それに、「食べれる?」の意味が分からない人に、「食べられる?」と聞いても、おそらく伝わらないであろう。このように、ら抜き言葉も若者の言葉も、言葉の伝達の役割としては、何も不足していないのだ。(複数の理由Ⅰ)
 一方、言葉は意思疎通のみの道具ではなく、もっと大きなものを示唆するものなのだから、正しく美しい日本語を使うべきだ、という意見もある。私も、テレビ見ていて、テレビに出ている芸能人や政治家の口から、ら抜き言葉などが聞こえてくると、特にとがめる気持ちはなくても、自然に違和感を覚えてしまうことがある。このように、正しい日本語を用いることで、日本語の美しさを感じたり、日本人的感覚を養うことができる。(複数の理由Ⅱ)
 これら二つの意見のとおり、一人一人の言葉に対する意識によって、使用する言葉の判断も変わってくる。しかし、一番留意しなくてはいけない点は「辞書のような人間になるのではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である」という名言もあるように、その時々で自分自身を把握することである。自分の心と、置かれている立場を確認して、一番納得のいく言葉を使用することができれば、昔も今も輝くような、そんな素晴らしい言葉が使えるのではないだろうか。(名言)(総合化)
           

   講評   nara

 書き出しの段落と、第2意見の段落にある「日本語の美しさ」とは具体的に何を指すのだろう。美しいか否かは、生まれつき持っている感覚によって判断されるのだろうか。ここをもう少し考えてみよう。学習や刷り込みがあればこそ、古典的な文章のフレーズをいいと思うのではないか? それとも、日本語の語彙が何かのリズムと相性がよく、それを「美しい」というのか。日本語のラップは美しくないか。「美しさ」の中身をれもんさんなりに深めていくことで、れもんさんの日本語観もより明らかになっていきそうだね。
 言葉を使うのが人であり、人が生きる社会や環境が変化すれば、当然変化は生じる。変化が生じるという前提で、変化の是非それぞれを考えていかなくてはならないのだね。古い日本語(および古い日本語で書かれたもの)を学ぶのには、どんな意味があるのか? 伝達機能の面を重視すれば、「わからないから伝わらない」ということを肯定することになる。となれば、過去から何かを受け取ることも、未来へ引き継ぐこともできなくなってしまいそうだ。言葉は、同世代・同社会内でのコミュニケーションツールにとどまらない、と考えるとおもしろそうだよ。
 言葉は変化するものだからこそ、無意識であれば、楽な方へ・低い方へと流れやすい。どうあるべきか・どうすべきかという意識が求められるのだね。その意識が言葉を磨く研磨剤として働くのだろうなぁ。

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