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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   何ごとぞ花見る人の長刀   えにほ

 「何ごとぞ、花見る人の長刀。」日本人の直ぐ身近な自分の所属する小共同体へのコミ二ケーションは要領が違う。日本人の代表的な自然鑑賞、花見、月見、そして雪見は、気楽で肩の力を抜き和気あいあいとした雰囲気に浸るのが文化的な習わしになっている。そんな雰囲気の中に入って,満開の桜,または満月を鑑賞しながら、あらためて各個人と小共同体との繋がり,関係を新たにする役目があると云う事はうなずける。 なぜこの日本の間接的なコミュニケーションの仕方に成ってしまうのかに関して,著者は「日本の社交の基本は『見る』ことで成立する。」と書いている。例えば、恋人同士でも、面と向かって愛を告白するよりか,同じ月をみて月の鑑賞にしんみり二人で浸るほうが巧く気持ちが通じる。又は通じる様な気がする。二人の関係が親密であればあるほと、この黙って何かを眺めながら互いの心理的な繋がりを確かめることが可能になる。 花であれ,月や雪てあれ、同じ対象物を鑑賞しながらお互いのコミュニケーションを図り、西洋とは違った肌身で感じる信頼関係にこだわるのである.このコミュニケーションの仕方は日本のあらゆる文化の中に浸透している。日本の芸術の中にも浸透し、西洋人がまねをしようと思ってもなかなかまねのできるものではない。これは『日本人の知恵』として長年育まれた日本文化の基盤に成っているからだろう。 

 「日本の社交の基本は『見る』ことで成立する」と指摘されているが,音の感じ方についても同じ日本的なコミュニケーションが基礎になっている様に思われる。私は和太鼓に魅惑され,カナダのマニトバ州ウイニペッグ市で地元のグループと練習し、一緒にカナダの他の州やアメリカのミネソタやモンタナまでも演奏旅行に出かけた事もあった。結局,やればやるほど,和太鼓をやっているのになぜか、北アメリカ的でやるせなくなってしまいやめてしまった。やめる大きな要因は根本的にカナダ人、アメリカ人には和太鼓の音と音との間の感覚とサイレンスの感覚が通じにくい。日本的なコミュニケーションは皆無で,すべてパーカッション的な表現を基に練習するため、ビートを埋め込んでいく感じであった。なにか深みがなく、理想とする音作りからはほど遠い事を経験した。皆自己表現には必死であるが,グループが有機的に一つになって演奏するのも稀であった。 やはり「あ.うんの感覚」、日本的なコミュニケーションも和太鼓の音作りの重要な要素なのだ、と感えさせられた一つの経験である。

 日本的なコミュニケーションを映画と云う媒体をで巧みにとらえ、彼の死後40年以上経った現在でも世界の映画ファンを魅惑していると云えば,小津安二郎である。彼の作品は家族ものが多い。 年頃の嫁入り前の娘と父親の関係とか、田舎からわざわざ訪れた老夫婦と、独立して東京で家庭を持っている子供達との話等、 家族にまつわるごく平凡な題材を取り扱っている。 この監督の素晴らしさは多すぎて簡単に表現できないが、例えば、父親の寂しさを、その丸くして座っている背中をカメラにとらえ表現できるのである。もう一つの例は、カメラの位置である。通常の位置よりもかなり低い事で有名である。これは茶の間でお膳に座って会話をしている人の顔と様子の親近感をとるのに巧く利用されている。会話と云っても、相づちを打ったりしながら相手の言った事を繰り返しているだけであるが、お茶を飲みながらの茶の間にある親近感を巧くだしている。 その他、戦後の経済成長と平和な日本の象徴、例えば団地の立ち並んだ様子、町の路地にあるカラフルな飲み屋の看板とか,田舎の日本家屋の瓦など、いろんなショットを取り入れることもとても印象的だ。

 確かにこの忙しい情報社会で,ゆっくりした小津の世界で展開するような会話を探すのは難しいのかもしれない。しかし、肌に感じる親近感、優しさ、またはグループの調和を感じさせる日本の多くの芸術作品の原点はそれが日本の文化と歴史に培われた『以心伝心』のコミュニケーションである様に思う。なかなか捨てがたい文化である。
   

   講評   unagi


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