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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   だまっていても伝わる言葉   ウンディーネ

 日本人は「見る」ということに重要な意味を与える。自分の目で見なければ、認識の根拠としてすこぶる薄弱だとする意識がある。さらにいえば、日本の社交の基本は「見る」ことで成立する。若い男女の恋人同士が愛の告白をするとき、西洋人のように、
「私はあなたを愛しています(I love you)」
などとはけっしていわない。そんな言葉を口に出さなくとも、満月を仰ぎ見て、
「いいお月さんですね」
そして、二人でじっと空を見上げるだけで、意思は十分通じるのだ。この場合、お月さんは二人の心のリフレクターの役割をする。つまり、日本では、言葉でなく、物理的対象物をともに見ることで、社交が成り立つのだ。月、雪、花は人と人をむすびつける触媒なのである。西洋のように、しゃべることが社交の基本になっているところでは、話がとぎれるとなにか気まずい思いをしなければならない。日本人なら、だまってなにかをながめることでも、会話は進行しうるのだ。私は、黙っていても分かりあえるというのはいいと思う。
 第一の理由は、心にできないことも分かり合えるからである。私は、他人と会話するのが苦手だ。家族や、いつも一緒にいるような友達はともかくも、そんなに親しくないクラスメイトや先輩とかと一緒になると、何を話せばいいのか分からなくなって、「しぃ〜ん」となってしまう。もししゃべっていたとしても、その話題が尽きてしまった後のことを考えると、ぞっとしてしまう。しかし、何でもいいから、「見る」ものがあると、それを通して心が通じるから、安心できる。しゃべらなくても済むし、自分の中でも、それをしんみりと感じることができる。きょう、ボランティア活動があり、老人ホームに行ってきた。そのとき、先輩と組むことになってしまい、しゃべる話題がなくて、困ってしまった。見るものがなくて、もっと困ってしまった。最終的には、同じものを静かに見ていたが……。
 第二の理由は、しゃべらないことによって、思いやりの気持ちができるからである。もし、自分がものすごく落ち込んでいるときに、どうしてもらえば一番うれしいだろうか。私なら、はげましや、なぐさめの言葉を、延々と聞かされるよりも、何か一言、ぽつり、と言う程度で、あとはそっとそばにいてくれるのが、一番うれしい。どっちかと言うと、ペチャクチャペチャクチャ言われると、「なんだよ、うるさいなぁ」と思ってしまう。逆に、静かにそばにいてくれれば、一人よりも安心するし、静かに考えることもできる。そして、そのほうが相手の心にも伝わりやすい。
 確かに、黙ってばかりだと誤解を招いてしまうこともある。しかし、「トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである。」 という名言があるように、言葉に頼らない日本的なコミニュケーションのとりかたが、いちばんいいのだろう。だから、私は黙っていても分かり合えるのはいいと思った。

   講評   takeko

よい文章が書けましたね!要約、うまくまとめました。あとの内容によくつながっています。「第一の理由」「心にできないことも」はもしかして「言葉にできないことも」の打ち間違いかな・・・?あまり話をしたことがない人とどう話したらいいかは、本当にとまどいますよね。相手の人がどんな話題が好きかわかりませんから。だから大人は「いいお天気ですね」など、あたりさわりのない、だれにでも通じるあいさつが発達(笑)しているかもしれません。ボランティア活動で老人ホームに行くことも学校ではしているのですね。たいへんでしたか?先輩もきっともし口べたならこまっていたでしょうね。でもいっしょに活動をしていると、必要なことはしゃべるようになるから、まだいいですよね。第二の理由もいいですね。欧米では、家庭にまねかれ、日本的に「どうぞおかまいなく」と言ったら、本当になにも出てこないそうです。日本だと、だまっていても、暑い日なら冷たいお茶、寒い日なら暖かいコーヒーや紅茶を出してくれるのがいいところですよね。名言はとてもいいものを選びました。説明すべきときはちゃんと話ができ、だまるべきところはだまれる、そんな人がいるのって、かなり高度な文化ですよね。

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