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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   大きな価値   はなこ

 今の日本には、誰もが憧れるような大きな価値というものが、なくなった。昔は、「尊皇攘夷」とか「鬼畜米英」とか「所得倍増」のようなすべての人が支持する大価値があった。しかし、そのようなものも、時代とともに、どんどん消えていき、今では、いつでも拒否出来るような、小さな価値はたくさんあるものの、大きな価値というものは消え去ってしまった。今の時代に、社会を貫くような大きな価値がないというのは、問題である。
 大きな価値がない第一の原因は、欧米に追いつくという戦後の目標を、一応達成してしまったことにあると思う。戦後、日本は欧米に追いつくという大きな目標を掲げ、高度経済成長期などを経て目覚ましい発展を遂げた。そのため、今の時代では、昔の人々にとって憧れれであった、テレビなどの電化製品が簡単に手に入るようになり、目標がなくなってしまった。
 第二の原因は、社会全体に大きな価値をいかがわしく思う風潮があることだ。日本人は、第二次世界大戦で、圧倒的な権力を誇っていた、ナチス党のヒトラーが敗戦してしまったように、大きな権力も必ず滅びるという考えが根付いている。そのためか、日本人は、大きな価値をどんどん好まなくなっていった。
 確かに、大きな一つの目標に向かって生きていくのは、息苦しく、また不自由を感じることが多々あるかもしれない。しかし、現代のように、何の目標もなく、ただ生きているというだけでは生きている意味がないと思う。人間とは、ただ存在するために生きているのではなく、何かを為し遂げるために生きているのである。

   講評   nara

 久しぶりの作文の課題に、今回の長文を選んだのはたまたまかな。長文を読むと、現代社会の漠然とした鬱とした感覚が、何によるものなのか見えてきそうだね。日本としても、個人としても、何を目指すべきなのかが見えていない、だから何をすべきかもはっきりしない。そういう漠然とした状態の中で自分探しするということは、やりにくいことなのだろうな。
 第1の原因は、オリンピックで金メダルを取った人のようだね。目標としたものを手にしたときに、燃え尽きてしまう感覚と重なるものがあるよ。では、その人は、次なる目標をどこに置くのか? どうやって探すのか? このあたりに問題を乗り越えるヒントがありそうだね。
 第2の原因はおもしろい指摘だ。大きな価値に意味を見出さないのは、大価値が実はハリボテだったということを、見抜いてしまったからかな。いや、大価値が意味を持っていた時代もあるだろう。現代は意味を持たないということね。長文にある「情報化社会」という視点を、この段落に加えてみるとおもしろそうだ。
 目標を持たない生き方は、根本的には人は好んではいないのかもしれないね。だからこそ、長文にあるように、ゆがんだ形(限定・縮小された世界)での目標達成に、救いを求めているわけだ。信じるに足りうる大価値はどこかにあるのだろうか? それとも、大価値を作り出すのは、自分自身だろうか? ここを考えてみてね。

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