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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   お金には価値がある   しっぽ

 日本は豊かな国になっている。経済活動が活発になればなる程福祉社会は発達していくはずであったのに、逆に日本の社会では効率を競うようになり、人々は追い立てられていった。競争は人間を利己的にし、一方が利己的になれば他方も利己的になるため、万人は万人の敵となり、自分を守る力は金だけとなる。そんな社会では、人間の能力は、経済価値を増やすかどうかで判断されるようになり、同じように社会で働く人であっても、経済価値に貢献しない人は、認められることが少ないのだ。私は、日本がこのような経済観念しかなくなってしまったことは問題だと思う。
 まずその第一の原因に、社会の中で、人間の価値を計る基準は所得や学歴などに置くことが最も簡潔であり、的確だからである。この間の朝、母が駅まで車で送って行った時のことだ。急に女子高生が車の前に飛び出して来た。間一髪で避け、両者とも怪我はなかったが、父がその女子高生に対し激怒した。「なんだあの子は!!全くボーっとしてどこを見ているんだ!馬鹿じゃないのか!!」と言うので、母が怒りを鎮めようと「あの子、神奈川県でトップの学校に行っているんだよ」と話を切り出すと、父は急に黙りこくってしまったそうだ。社会の多様化に伴って人間も多様化してきた。もはや人間の価値は外見や性格だけでは容易に判断できなくなってきている。そこでやはり、人間は所得や学歴などの明確な価値基準を作る必要があったのだ。しかし、そればかりに頼ってはいけない。そういったものが、ある程度その人間そのものに比例することは確かかもしれないが、それだけでは分からない価値もたくさんある。私たちは、もっとその人間の内面にも目を向けていく努力をするべきである。
 また、第二の原因に、日本人が何にでも能率を重視する、というところにある。現に、人間の価値は、経済価値に貢献するか否かによって定められている。また、それ以外のところに価値を求めようともしない。私たち人間は、過去に同じようなことを何度も繰り返してきた。例えば、北海道にある根釧台地は、一時期埋め立てが予定されていた。湿地など特に役にも立たないから、というのが主な理由だ。しかし、作業を開始してから、湿地を埋め立てるのはかなり難しく、割に合わないことだと判断され、計画は断念されたのだった。そのおかげで、湿地は今も残っており、貴重な鳥が集まる場所として世界遺産に認定されている。ただ能率ばかりを重視し、そこにしか価値を見出すことしかできないと、そこからもろさが生まれてしまう。私たちはもっと広い視野を持つべきだ。
 確かに、多くの人間がいる社会の中で、内面を観察しながら一人ひとりの価値を見出そうとすれば、かなり多くの時間がかかってしまう。しかし、最も価値があると考えるものは人によって違う。私たち全員が経済的に貢献することが最も重要な価値だと考えているわけではない。人間は何においても一律に定められる価値を持っているのではなく、様々な価値観を持っているものだ。私たちは、人が築いてきた価値を、ただ一つの視点から見るのではなく、もっと多くの面から見るべきではないか。

   講評   nane

 余裕があれば、書き出しを工夫してみよう。
 学歴や所得というはっきりした基準があると、確かに判断しやすいところはあるからね。逆に言うと、人柄のよさなどというのも、人柄検定試験でもあれば、はっきりするかもしれない。(笑)
 釧路湿原の話のような例は、あちこちにありそう。四万十川もそうだったらしい。
 最近のダム建設反対や埋め立て反対なども、こういう反省から出てきているのだろうね。
 社会実例で、今読んでいる本などから面白い実例を入れていけるといいよ。あるいは、昔話のように、異なる分野から取ってきてもいい。
 結びに、もう一つ工夫した名言を入れてみよう。「価値とは……ではなく……である」という感じかなあ。
 体験実例は、面白く書いたね。学歴や肩書きで人を見る目が変わるという例は多そう。
 素材語彙を増やすために、更に話題を広げよう。

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