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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   昔話から教訓を   ミュウ

 日本の昔話は面白い。読むと、先人の教えを受け取ることができる。例えば、「ウサギとカメ」では「途中でウサギのように怠けてはいけない」、「カメのようにコツコツと努力しなければならない」といったところだろう。しかし、そんな昔話は最近「子供のための話」とされているようだ。決してそうではない。先人の教えを受け取るのは、年代関わらず全ての人だ。子供だけ、と限定する必要はないのである。私達はそのことを頭に入れつつ、教えを探し出さなければならない。
 そのための第一の方法は、一種類の昔話を別の角度から読むことだ。それによって、新たな教えを発見できる。私も、例の「ウサギとカメ」を異なる視点から眺めたことがある。すると、「ウサギは自分に合ったフィールドで競争をすべきだった」ということに気づかされた。つまり、自分と合わない環境で何か行動しようとしても、上手くいかない。自身と相性が合う時や場所でなければ、物事はスムーズに進行しないということである。また、私が通う塾の国語の先生によると、御伽噺は徐々に変わってきているらしい。今は、「なぜカメはウサギを起こしてあげなかったのか」が着眼点になっているそうだ。昔話の内容が移り変わっていくのは寂しいが、観点を変えて見直しをすると、新しい教訓が露になる。私達は、そうする努力が必要だ。
 第二の方法は、大人になってから再度読むことだ。子供の目線と大人と目線は身長によって違うように、本に対する目線も老若によって違う。小さい時に見えなかったものが、見えてくるのだ。幼少の頃だけでなく、社会人になってからも読んでこそ、昔話の本当の価値を味わえるのかもしれない。米倉千尋の「想い出がいっぱい」の歌詞の中に「少女だったといつの日か 想う時がくるのさ」という部分がある。アルバムの写真に見入っていると、とても昔が懐かしく思える。そして、その頃は考えもしなかったことが頭を巡ったりする。きっと昔話においても、同様なことがいえるだろう。読み進める度に、様々な新発見があるはずだ。
 確かに、大人になったら論説文などを読むべきだ、と思うかもしれない。しかし、昔話は短編小説だ。「子供向け」と表示されているだけで、どの年齢層が読んでも構わないのである。つまり、読み終えるのにそれ程時間はかからないのだ。息抜きにでも、という気分で味わう気持ちも大切である。また、日本文学だけに縛られず、外国の昔話に触れることによって、地域ごとの価値観や文化・文明、実情を理解できる。「十二支のお話」に猫と鼠の仲が悪い理由が描かれているように、地域事情の原因を究明できる可能性が高いのだ。また、「真によいことは、新聞に大きな騒ぎを起こすことなく、小さく始まる。」という名言がある。この言葉のように、角度や読む年代を変え、そして少しでも外国の話に耳を傾けることによって、教訓を得られるのである。諺と昔話は似ているが、諺は先人が後世へ端的に伝えたものに対し、昔話は分かりやすく、面白く、親しみやすいものだ。明らかに、諺よりも物語の方が読んでいて楽しい。それで教訓を得られるのだから、まさに一石二鳥だ。そんな昔話を、私達はもっと読まなければならない。

   講評   nara

 実力テスト中だったにも関わらず、電話での話もしっかり聞いてくれたし、作文もよくまとめられたね。締め切り効果なのか、習慣化なのか、先延ばしにしない方が仕上がりもいいように思うよ。がんばったね。
 今回は盛りだくさんの内容だ。複数の方法は似ているようで異なっている。第1の方法は、意図的に視点を変えるということね。それに対して、第2の方法は、年令や経験などによって変化する視点ということだ。意図しない分、幼いころとは違う読み方をした自分を発見するという楽しさも加わってきそうだね。文章を読むことは「気づき」であるとすると、新たな自分を発見するのは、まさに読書の醍醐味だと言えるね。
 塾の先生の話もおもしろいね。「○○物語に隠された秘密」というとミステリーっぽくなるけれど、「分かりやすく、おもしろく、親しみやすい」物語の中にこめられたメッセージを読み解いていくのは、古い時代からのプレゼントを開くようなものなのだね。中に何が入っているのかはお楽しみ、ということか。
 物語や昔話が「子供向け」とされるのは、語彙のやさしさによるところが大きい。語彙がやさしいから、イコール内容も低レベルだとは、必ずしも言えないね。そこに何がこめられているのかを見極めるのは、読む側の力量によるということだ。つまり、大人の読み物としても成り立つ要素を持っているということだね。時代を越えて語り継がれ読み継がれているのには、それなりの価値があるからに違いないのだからね。
 今月の清書はこれにしよう。6〜800字程度にまとめて送信してね。忙しい中、今月も力作揃いだったよ。23日は祝日・30日は第5週で電話なし。次回の電話は12月になってから。来月もハードに楽しく(!)やっていこう。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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