文明開化。これが、日本で長く続いた木と木綿の中の生活にピリオドを打った。文明開化以来、人々は『古い物には古い物なりの良さがある』というのを忘れて、新しいものへ新しいものへとどんどん歴史深い良い物を遠ざけるようになった。
私にはこんな似た話がある。
私の通っている小学校には、遊具にくっつくように生えた枝垂れ柳がある。最近その『柳が切り倒される』という噂が広まっている。それは、遊具に柳がかかると子供が引っかかって危ないからだ。たしかに私も、低学年のころに柳の葉に引っかかって、縄で出来た橋の穴に頭を突っ込んだものだ。しかし、その柳には大きな思い出がある。
三年生の頃私は自分で長い髪を結うようになった。最初は低いポニーテールとツインテール。それから高いポニーテールとツインテールができるようになった。でも、私に唯一できなかったのが三つ編み。どうやってもコツがつかめず、テレビで見るようなカワイイ三つ編みがどうしても出来なかった。
そんなある日の中休みに柳をボーッと見ていると…。ピカッ☆私の頭に一つのアイディアが浮かんだ!枝垂れ柳に背を向けて肩から葉を流し三つ編みをするのだ。最初は三枚だけで。そして、徐々に細く、枚数を多くして練習を重ねていった。すると、自分の髪の毛でもうまくできるようになった!今ではたくさんの三つ編みをつかった髪型だってできるようになった。それが私の柳との思い出。『逃がした魚は大きい』と言うように、この柳がこれから何十年何百年と生き続けて有名な柳になるかもしれない。『Who knows?(フーノウズ)』この先のことは誰にも分からない。
古い物とは、それだけ歴史があり、味があり、思いが熱く、色んなものが詰まっているのだ。新しいものや機械によってできたものも良いけれど、古かったり、ハンドメイドだったり、自然の恵みによってできたものを私は大切にしたい。 THE END