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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自己の確立   ミュウ

 昔は大人と子供の境界線がはっきりしていた。否応無しに、元服という成人儀式を行わされたのだ。それから年月が経つにつれて、世間に大人扱いをされ始め、現在では少しずつ大人になる、という設定になっている。成人式に出席したら大人、という考えもあれば、職業に就いたら大人、という人もいる。しかし、逆に大人になれないのが現状だ。大人と子供の境目がなだらかな坂のようになっていて、大人が認識できず、親離れができないのである。だから、「現代はアイデンティティ不定の時代」といわれてしまうのだ。私達は、アイデンティティを確立しなければならない。
 第一の方法は、自分自身を内向きに見ることだ。他者と比較して異なるところを削り取り、他の人と違うことを実感する。こうして、世界の約60億人の中から自分を限定できるのだ。国の話になってしまうが、平安時代にも他国の文化の影響が出ていて、日本独自の文化が見えなくなっていた。そこで、ある日に遣唐使が廃止された。それは、日本は朝鮮の国々でもなければ中国でもない、という傾向があったからではないか。その結果、当時日本と交流があったのは東アジアだったため、この出来事によって日本らしさが露になった。これは人間も同じだ。他との相違点を明確に切り取ることによって、自己を見出せるようになるのである。
 第二の方法は、視点を外側に向けることだ。他者とどのような関係であるかを考え直すことにより、自分を理解できるのだ。例えば、私は両親の娘であり、兄の妹でもあり、中学校のクラスという団体の一員でもあれば、言葉の森の生徒でもある。その人は苦手だが、あの人といると楽しい。これらを挙げることによって、自分は今まで様々な人と出会い、関わってきたのだと痛感できる。他者にとって、私はこんな存在なのだ、と思えるのである。
 確かに、過去と今では社会の仕組みが違うため、昔に拘らなくてもいいのでは、という意見もあるだろう。しかし、これから近代化が進むにつれて、大人と子供の区別がつかなければいけない。社会問題となっている、仕事をしないで毎日を過ごすニートや引きこもり、そして正社員でないフリーターが増加する恐れがあるからだ。それを解決するためにも、一人一人が意識を変えていく必要があるのだ。だが、内と外への観点が片方に偏っているのも駄目だ。両方が上手く噛み合ってこそ、そして人との関係が濃厚になると、自分が改めて自分の意味が呑み込めるのである。「他人から尊重されるには、まず自分で自分を尊重できなければならない。」という名言がある。他者がいるから自分がいるのだ。そのことを忘れずに、私は自己を確立していきたい。

   講評   nara

 いつもよりも若干字数が少ないけれど、これはこれですっきりとまとまっているね。「大人になるってどういうこと?」いろいろな答えが考えられそうだけれど、長文とこの作文をベースにすると「アイディンティティを確立すること」が、大きなポイントになりそうだね。もちろん、ひとつの条件だけをクリアすればいいというものではないけれど。
 第1方法:「削り取る」というという表現は、もう一言補足があるといいな。「削り取って捨てる」場合もあるでしょ。むしろ、「削る」には、「余分なものを削る」というニュアンスも強いくらいだけれど、この段落では「削り取って特化する・純化する」という意味合いね。
 第2方法:これはよくまとめられた。長文では、儀式によって境界線が明らかになっていたと説明されていたけれど、境界線を越えることで、今までにはない人間関係を構築しなければならな状況に放り込まれた、ということなのかもね。当然、他人にとっての自分を意識することが増えれば、それだけアイディンティティは明らかになるはずだ。 
 ニートや引きこもり、フリーターの増加など、現代的な問題を取り込んだのは意欲的。だけれど、それぞれにかなり難しい問題でひとくくりに論じるのは誤解を招きやすい。例えば、フリーターの増加は、社会のシステムや雇用体系・高齢化による就業人口の変化など、「私の自己確立」だけにとどまらない話が関わってくる。意欲は買うけれど、話が散漫にならない工夫も必要だ。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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