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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ランニング   えせち

 2学期最後のイベントとして、リセ・フランコ・ジャポネ主催のマラソン大会に招待された。なぜインターナショナルスクールと交流があるのか。それは2年前まで、ぼくの通う小学校の校舎内にこのフランス人学校の一部があり、学校生活を共にしていた時期があったからだ。
 集合場所の北の丸公園は皇居外苑の北側にあり都会のど真ん中にありながら緑豊かな公園である。皇居のまわりはランニングコースとして有名で、一周がちょうど5kmでわかりやすい・信号がない・景観が美しい・適度にアップダウンもありランニングに最適という理由で多くの人が走っている。しかしコース脇は常に車の渋滞で空気は汚れているのでそれが難点だそうだ。今回はこのコースを走ると思っていたので5kmは長いな、つらそうだなとテンションは下がりっぱなしだった。リセとの交流といってもお互いに言葉がわからないのでコミュニケーションはとりづらく、到着してはじめて公園内のコースとわかってほっとしたそして簡単な説明のあといきなりスタート地点に並ぶことになった。
「1,2㎞は楽勝だな。前半はみんなのペースに合わせて、後半に追い上げよう。」
 ぼくは密かに作戦を練った。そしてスタートラインの後方に並びゆっくり走ることにした。最前列は絶対に負けるもんかと闘志むき出しのメンバーが揃っている。中でも日本人のA君とフランス人のB君はまるでオリンピックのマラソンランナーのように真剣な顔つきで今にも飛び出しそうだった。
「位置について、用意スタート。」
 とは言わないけれどフランス語のそれらしき合図でマラソンはスタートした。勢いよく飛び出した先頭集団はグングンと加速して行く。あせったぼくも遅れないように全速力で走った為、完全にペースを乱してしまった。そしてゼイゼイ言い出した頃には両足が地面に吸い寄せられてトボトボと歩き始めた。追い抜いていく、いくつもの背中がまるで糸の切れた凧のようにぼくから離れていく。残念なことに結果は16位だった。
「本当は5位ぐらいになっていたのに・・・。」
 と想定外の結末にがっかりして、この時ばかりは日頃から野球のランニングをまじめにしていればよかったと反省した。
 毎週、野球の練習で必ず走らされている。正直なところあまり好きではない。なぜなら走るとそれだけで体力を奪われているような気がするからだ。みんなも同じように嫌いだと思う。監督が見えなくなるとみんなしゃべったりのんびり走ってごまかすのが得意である。ぼくもそのうちのひとりでランニングの意義がわかっていないと叱られる。
 野球の選手は9回までプレイできる持久力と同時にバットを振ったりボールを投げたりするのに十分な筋肉強度を必要とする。だからランニングや水泳のような持久力トレーニングとウェイトトレーニングを組み合わせたメニューをこなす必要がある。このように自分との戦いと思える訓練を黙々とこなすことはぼくにとっては石の上にも三年というように長くつらい道のりだ。しかし、皇居のまわりを軽やかに走っているランナーはきっと走ることが面白くなってやめられなくなった人達だろう。この領域に達するまでにはまず自分には圧倒的に不足している精神力の鍛錬が必要だと痛感している。

   講評   hamura

 
マラソン大会の様子をていねいに描写しています。文章が流れるようで読みやすく、表現も優れているので情景が目に浮んできます。
 
「構成」は野球選手の話で「聞いた話」となります。「構成」は皇居の回りを走る、という同じ場面で最初と最後がつながっていますが、マラソンの場面は出だしのあともしばらく続くので、もう少し的をしぼって、最初の5行と最後の5行に同じキーワードを入れると、ねらっていることが明確になってずっと効果的になります。

 私は最後にある「走ることが面白くてやめられなくなった人たち」というのが、ユニークな視点でとてもいいと思います。これを使うとして、まず楽しそうに走っている人達の場面から始まって、そのコースの良さを説明し、それから、必死でがんばっている航之介くんたちの話→野球の訓練→「石の上にも3年」と続いて、最後に「楽しいという境地まで達した人たち」にもどるのもいいかもしれませんね。

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