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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   百代の貨客   トノチュウ

私たちは旅、未知と偶然の要素を多く含んだ旅に出るとき、どこかへ行きたいとか、なにかを調べたいとかなどといった、なんらかの意味で目的をもった自分の意思とは別に、一種のあやしい胸のときめきを感じる。旅は異次元への飛翔ともいうべき側面をもっている。  日常の惰性的な生活のなかで閉ざされた私たちの心を、旅は開かれた、予感にみちたものにする。しかしまた旅において私たちは行くさきざきの不安にも敏感になる。ふだんの安穏無事な生活のなかでよりも、ひとは旅に際してわが身を見つめるようになるのである。いまでは旅に際しての別離も昔ほど深刻なものではなくなったけれど、それでもそこにはひそかに私たちを脅かすものがある。旅先で見たものや聞いたものは、しばしば私たちに新鮮なおどろきを与え、旅先で出会った出来事はしばしば私たちにつよい感動を与える。旅に出るとひとは誰でも「芸術家」になり「詩人」になるといわれるのが、この場合「芸術家」になり「詩人」になるというのは、なにか特別な力を新しく手に入れることではない。それは人間がもともと持っているいきいきとした感受性をとりもどすことである。旅では日々は私たちにとって新たならざるをえない。よりつよく私たちの好奇心は突き動かされ、働くようになる。
旅は人間を成長させる。たしかに旅は時にはつらいときもあるが、それを乗り越えた時人は成長するのだ。僕たちはそんな旅もっと経験する必要がある。その方法としてはまず第一(複数の方法1)に実際に旅に出てみることだ。実際に旅にでることで新しい自分が見つかるかもしれない。旅といってもいろいろな旅がある。一般に旅といわれると自分の元いたところを離れ、遠方を散策することである。近代化が進んだ現在ではどちらかというと都会⇒田舎が旅と呼ばれる傾向があるように思える。しかしその反対もある。僕が今まで経験した一番の旅はやはり中学受験合格であろう。それまで一日にバスが何本通るかという田舎に住んでいた僕がひっ越しをして、奈良市内の学校へ電車通学することになったのだ。引っ越し先はまだ比較的静かな所であったが、電車に乗って奈良市内へ行く時はまさに『旅』という感じだった。それまで電車に乗ったことが手で数えられるほどしかなかった僕は電車の窓にへばりついて景色を見た。おびただしい機械と人工建築物の街の騒音には本当に失神しかけた。(田舎からでてきたおかげて遮断機にすらうるさかった)思えば、田舎から街に来て、僕の性格は劇的にかわった。それがよかったか悪かったかは別として、旅に不思議な力があるのは事実である。
第二の方法としては(複数の方法2)実際に旅に出てみることだ。『月日は百代の貨客にしていきかう年もまた旅人なり。』これは『奥の細道』の冒頭の部分である。李白の詩の『夫れ天地は万物の逆旅、光陰は百代の過客なり。』に依るそうだ。『百代』とは『非常に長い年代・永遠』のこと、『過客』とは『通り過ぎてゆく人・旅人』、芭蕉は過ぎ去ってゆく月日を旅人と表現した。そして『人生は旅だ』と語った。多くの旅人達はそれを知っていて、その旅をさらにゆたかにするためにあらたな旅にでたのだろう。
確かに、日常の穏やかな生活にも良さはある。しかし、大きなとららえ方をすれば人生も旅といえる。人生とは常に先が分からないものである。これから先の未来、明日でさえも本当は分からない。そういう意味で人生も旅も同様に漂白という感情を抱かせる。月日だけでなく、僕たちも『百代の貨客』であるのだ。(諺の加工)

   講評   yama

 今回は森リンが90点という高得点をマークしましたね!項目もすべてきれいに入った力作でした!

<第一段落>要約は少し長すぎたかなという印象があります。同じようなことを言い替えているだけの文章などは省いてコンパクトにまとめましょう。
<第二段落>「ぼくたちは旅をもっと経験する必要がある」という当為の主題ですね。そのための方法1は「実際に旅に出てみる」こととありますが、方法2と全く同じですね(笑)方法1を「変化をおそれないことだ」などとしてみてはどうでしょうか。中学受験による生活の劇的な変化という実例にいたるまでは、違和感のないように良い流れで書けています。長文の内容に照らし合わせるのなら、都会での生活がまた日常に変わっていく(慣れ親しんだ物として好奇心が働かなくなる)ことについてもふれてみるとよかったですね。
<第三段落>方法の二つ目は「実際に旅にでること」で、先人を実例としてあげてくれました。旅に出て感じるものは、昔の人も今の人も同じですね。
<第四段落>今回はなんといっても諺の加工がかっこよくきまりましたね。「人生も旅だ」という話に発展させて「僕たちも百代の貨客である」と結んでくれました。トノチュウくんの言うように人生の旅を豊かにするためにも、新たな旅にでて好奇心を働かせたいものです。


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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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