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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   言葉は決めて   雪女

 科学は記述から始まる。現象をコトバで記述する。ある現象とあるコトバが厳密に一対一に対応しているならば、誰が現象を記述しても同じ記述になるはずだ。他人と話していて、この人何か完全に勘違いしているんじゃないだろうか、と思うことがあるでしょう。きっとその人は、あなたと表記だけは同じだけれども、実は少し違うコトバを使っているに違いない。もしかしたらあなた自身だって、昔と今とでは表記は同じでも違ったコトバを使っているかも知れないのである。私は、言葉を厳密に使うことは大切だと思う。
 その理由は第一に、お互いに分かっていないと伝わらないからである。昨日のことだが、私は、ある友達からこの人は好きか、と尋ねられた。が、その友達は、「この人」の机を指差して、好きかどうかと、聞いたのだ。ところが私は、その指に気がつかなくて、その人の横にいた人のことを答えてしまった。もちろん、私はへんだなぁ、と思ったけれど、相手の友達も、変だと思っただろう。そして、ものすごく素敵な誤解をされてしまったことだろう。(後で気がついて、訂正しに行ったが・・・・・・)それはともかく、この行き違いが生じてしまったのは、言葉が曖昧だったため。もっと言葉を厳密に使っていれば起きることのなかった言葉の行き違いなのである。
 その理由は第二に、意味が分からないと、伝わらないからである。家では、「あれとってきて、あれ」という風に、よく代名詞を使って会話をしている。そして、たいていの場合、「あれって?」と聞き返される。意味が通じていない。代名詞というものは、名詞の代わりになるもの。名詞ってのは、ものすごいたくさんあるから、感のいい人でないと、以心伝心にならない。言葉を決めれば、このようなことはない。例えば食卓で、しょうゆを取って欲しい時に、「あれとって」よりも、「しょうゆとって」のほうがすぐに伝わる。また、外来語の定着度調査における理解度(単位パーセント)は、バックアップ(70.6)/ミスマッチ(69.1)/オンライン(63.4)/ビジョン(61.6)/マネジメント(60.0)/マルチメディア(59.3)/シミュレーション(58.3)/マーケティング(58.1)/リアルタイム(58.0)/コミュニティー(57.7)/パートナーシップ(55.0)/トレンド(53.0)/ライブラリー(50.0)/ワークショップ(48.9)/ダンピング(48.8)/と、増えている。このような言葉が、誰とでも通じるようになると、会話で意味が分からなかったりすることもないのだ。
 確かに、曖昧な言い方をする方がふさわしい場面もあるだろう。特に、詩が曖昧な言葉でないものは、あまり読みたくない。しかし、「すべてに効くという薬は、何にも、たいして効かない。」という名言もあるように、厳密な言い方をする方が誤解がなく、わかりやすい。そして伝わりやすいのである。

   講評   takeko

とてもよくまとまりました! 「要約」いつもながら、おもしろいいい場所を抜き出しました。「理由1」「理由2」体験実例、データ実例ともにおもしろい、良い例を出せました。(「素敵な誤解」というのがとても気になるワタシ・・・)
この「厳密な言葉」は「科学の記述上」とても重要なことだという話ですが、日本人は、昔から狭い島国、ほとんど同じ民族ということで「以心伝心」、「問わず語らず」など「あえて言葉に出さなくても気がつく」「気くばりをする」「なるべくノーと言わずあいまいな答え方をする」という民族性でした。だから、こういう考えは新しいし、日本人は苦手なので意識して訓練していかなければならないようです。そういう意味でこの長文を書いた人は世間に知らせようと思ったのでしょうね。また日本という国は外国からものごとが入ってくることにはとても寛容な国です。そういうわけでどんどん外来語がふえてくるわけで、ここも「意味のわからないカタカナを使うな」などよく議論されていますね。このデータ実例に出ていることばは私が小さいころはほとんど無かったといっていいでしょう。だからむしろ、意外にたくさんの人に理解されているのが驚きました。新しい言葉でも覚えようという日本人の勤勉な性質が出ていますね。1980年代ニューヨークに住んでいたとき、「セレブリティcelebrity」という言葉をアメリカの芸能ニュースでよく耳にして、「ははあ、アメリカでは芸能有名人のことをこう言うのか」と他人事みたいに思っていましたが、今や日本でも使われていますものね。しかも「セレブ」と思いっきり日本語発音で省略されて使われていますし。そういう中、日本の科学者は「言葉の厳密な定義」をしようとがんばっているのですね。

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