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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   舞台と観客の一体化   えよさ

 現代の「鑑賞」という行為は、演ずる者と見る者、つまり演じられている舞台とそれを鑑賞する観客とを空間的に分離している。しかし、日本の伝統的な国技である相撲を見るときには、客席で飲み食いをすることができたり、おしゃべりに興じることができる。このような姿は、私たちが厳かな雰囲気の客席から鑑賞する、西洋の演劇や音楽の本来の姿にも見られる。中世では、もともとは人々でなんとなくざわついている宮廷の庭や居間、街の芝居小屋や路上で、催しとして行われていたわけで、必ずしも純粋な鑑賞の対象であったわけではない。このように、今日の舞台と客席を分離する形式ではなく、舞台と観客が一体化する形式が、本来の鑑賞形式なのである。これは、私たちの社会の中での生き方においても、同じであると思う。私たち一人一人の国民が、見ているだけでなく、積極的に参加していく社会になるべきではないだろうか。
 第一の方法としては、国民が積極的に参加することへの失敗を恐れないことである。積極的に参加し、行動することには、リスクがつきものである。自分が為政者の立場であったら、確かに、国民の政治に対する過熱により、トラブルが起こることを恐れるだろう。たとえば、韓国では、駐在していたアメリカ軍の兵士により、女子高生が引き逃げされた事件で、大使館の前に群衆が集まり、暴動が起きたというニュースがあった。デモのように集団決起することで、世論を動かすことができるという意識は、日本人にはあまり親しみがない。これは、逆にいえば、日本人の政治への無関心さの表れかもしれない。私の身近な例でいえば、学校の生徒会がある。私は生徒会活動に、部活や美化委員としてしか携わっていないので、生徒会の執行部が行う様々な活動などには、無関心であった。しかし、部活や委員会で執行する立場になると、生徒の力で組織を動かしたり、決まりを定めたり、新しい方法を導入できることがわかった。この経験により、自分も生徒会の一人であるという意識が芽生え、それまでは勝手にやってくれればいい、と思っていた執行部の活動などにも、関心を持てるようになった。
 第二の方法としては、積極的に参加することの、練習をすることである。最近では、インターネットの掲示板などで、様々な話題が議論されている。年齢や顔はわからない同士であっても、インターネットの回線を通して、政治や日本の社会について熱く議論が交わされていることは、とても興味深い。インターネットという媒体を通して、自分の意見を発信することは、社会に参加していることになり得るかもしれない。逮捕されて拘留中の堀江前社長も、フジテレビを買おうとした時に、インターネットを活用して、国民の意見をもっと反映させたい、と言っていた。このように、各個人が自分の意見を持つことが大切である。明治維新が成功したのは、それまでの権威にとらわれずに、積極的に倒幕を推し進めた西郷隆盛らの若い人たちが活躍することができたからである。(伝記)
 確かに、客が静かに舞台を鑑賞する、演奏会のような場があってもよい。しかし、観客が舞台に参加できるような形式が、これからの時代には望ましいのではないだろうか。そのためには、舞台の側では客を受け入れる準備を、観客の側では、積極的に参加する姿勢を持つことが必要である。私たちの生きる社会の中でも、国民一人一人が積極的に参加する姿勢を持つことが大切であるだろう。舞台とは、出演者だけでなく、観客が一体となることで、完成するものである。(名言)

   講評   nane

 参加することの失敗を恐れないというのは大事なことだね。為政者の立場になると、つい「寄らしむべし知らしむべからず」という発想になりがちだけど、真に安定した政治を行うためには、自由な発言こそが大事ということだね。生徒会活動の例は具体的。自分が参加すると、自然に関心が高まるからね。
 参加の練習でインターネットの話を書いたのもいいところ。今年の新入社員は、ブログ型と言うらしい。自分の意見を発信するということがこれからますます自然なことになってくる。一部の人だけが意見を言う時代ではなくなってきているんだろうね。
 「舞台とは、出演者だけでなく、観客が一体となることで、完成するものである」は、いい名言。ただし、それまでの流れと同じ延長にある意見だからインパクトがやや弱いか。「観客こそ舞台を作る」などと書いてもいい。また、舞台を「政治の舞台」などと広げてもいいよ。


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