対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

昨日3224 今日3152 合計58712
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   自国だけの宝   あるま

芸術家は、理論を習うより前に、幼い時にもっと根本的な体験をしている。彼の成長とか円熟とかいうものは、この根本的な体験につながる表現にだんだん迫ってゆくという順序を踏むのだろう。つまり、各国の芸術家はその国の、のちにくる数世紀の芸術を決定づけるのである。現代の社会では、芸術における国独特の美しさが忘れられている。町にでかければ、様々な国の文化が取り込まれ、一体どこの国にいるのか分からないほどである。このように、いろんなものを取り入れすぎて、統一性がなくなるのは問題だと思う。
 その原因として、人は古いものや伝統的なものに目を向けるのを忘れていることが挙げられる。現代人は何かと新しい物好きである。「新発売」とかかれたものについ目がくらんだり、初めて公開される日に新作映画を見たがったり・・・。昨日まで新しかったものも、その一歩上をいくものが出た瞬間に、それは「古い」とされてしまう時代である。例えば、携帯電話について見てみよう。私は自分の携帯電話をもう二年以上使っている。しかし、私の友達の中にはこの「二年以上」の間に、三つ目の携帯電話を使っている子がいる。携帯電話の機能の進歩というのは、驚くべきものだと思う。その子はどんどん使いこなして最大限に利用しているのだ。そうやって新しいものを追い続けると、確かに最新の情報や技術が得られ、大きなメリットがある。しかし、そうすると古いもの、伝統的なものを省みる余裕など無くなってしまう。そうしてどんどん忘れ去られるものが増えるのは残念なことである。ちなみに、先ほど例に挙げた友達は歴代の携帯電話を部屋に飾っていた。それは古くなったものを残しているようで、そのギャップに心が温かくなった(笑)。
 もう一つ、人々の価値観の多様化も原因として挙げられる。日本でも、国内はもちろん、世界中での人の行き来が激しくなった。そうすると、様々なものの考え方が入ってくることになる。そして、そのような考え方や今までになかったものの見方に影響されて、自分たちの守るべきものから離れていくのである。例えば、繁華街に行くと、そこには日本人が多く集まるにも関わらず、和食の店ばかりが並んでいるわけではない。むしろ、あえて中華料理を食べに行ったり、何かのお祝いにフランス料理を食べに行ったり、というケースも少なくない。日本人でありながら、伝統の和食の味を知らず、他国の人に紹介したりできないというのもおかしな話である。外国のことを取り入れる前に、自分の国をよく知ることが先決だと思う。このように、価値観の多様化に惑わされずに、守り抜くものをしっかり見つめる姿勢が大切なのである。自然においても、このようなことが言える。オーストラリアには、特有の有袋類という種が存在する。これは特殊な環境だからこそ、進化して生き延びてこられた貴重な種である。有袋類は、オーストラリアが多様化する種の中で守り抜いたからこそ得た宝だと思う。
 確かに、様々なものの中で暮らすのは暮らしやすい。自分の必要なものや情報や楽しみに浸ることが出来るからである。その範囲が広くなるから、人それぞれの個性あふれる生き方もしやすい。しかし、混乱しすぎるほど外から取り入れると、国内やまた自分自身までもが安定しなくなる。自国の文化の根本を知らない人も増え、守るべきものが見えてこなくなるだろう。文化とは、内のものを知ってこそ外の良さが分かるように、外からのものだけでは物足りないのである。そして、国際化する日本の未来のためにも、日本の「古き良き」を知り、伝えることが各国との架け橋になるだろう。  

   講評   huzi

 【自作名言】がいいですね。内のものを知ってこと、外の良さが分かる。そのとおりだと思います。新しい情報が大量に流れ込んでくると、内側のもののよさを見直す余裕もなくなってしまいますが、真に自分の力になるのは、内に取り込んだものですね。
  よく書けています。文章のキレもよくなってきましたね。ひとつの文で述べきろうとしないで、短く、たたみかけていく書きかたを、これからもしてみてください。
 内容も◎。【社会問題の主題】を導くために、身近な例を一文、取り入れていますが、これが次の段落の内容とのよいつなぎの役割を果たしています。
 また、それぞれの【原因】を、自分の体験を元に幅広く説明できたね。単に紹介するだけではなく、観察して分析して、さらにユーモアまで交えたところは、さすが。携帯電話やパソコンは、伝統的なよさがわかりにくいもののナンバーワンですね。費用もかかるし、悩ましいです(笑)。
 【自然科学実例】も、難なくこなせたね。このように、意見の中に使える話をいくつか、覚えておくと便利です。ひとこと取り入れると、意外なほど説得力が増しますよ。
 むすびに、国際化についてふれていますが、外国に行った日本人はたいてい、日本文化を見直すようになるそうです。まずは自分の持っている長所を理解しないと、外との交流は難しいと実感するのでしょうね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)