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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   民族性と普遍性   ルフィ

 芸術という物は、幼いときに受けた影響によってある程度その後の方向性が決められてしまうものである。もちろん、芸術には普遍性もある。しかし、これは芸術のみにかかわらず、どのような文化であっても、そういうことからは逃れがたいのだ。民族性を超える普遍性があると思うことは、問題である。
 その原因として、第一に戦後の教育が普遍性を重視しすぎたことが挙げられる。終戦後、外国の統治下に置かれた日本のお手本となったのは、アメリカであった。その米国が持つ考え方とは、何にでも説明がつくはずである、というものであった。つまり、芸術も、数学も、哲学も全てがことばに変換でき得るということだ。私が常々疑問に思ってきた、ある国語の問題がある。それは、よく小学校のときに出た、「筆者はここで何を考えていたのだろう。」「ここで○○(登場人物)はどのように思ったか。」という物である。そして、そのような問題の答えは、必ず一つである。だが、人の気持ちなんて、ことばじゃ完全に伝わらない。ましてや、そのことばで書かれている文章から、人の気持ちを読み取りきることなんてできるわけはない、と私は思うのだが。普遍性というものは、確かに存在するのだが、それが通らない世界があることも、教育では教えなくてはならないと思う。
 また、別の原因として、日本がずっと鎖国を行ってきたため、他国の文化と自国の文化を比較しなかったことが挙げられる。そのため、自分たちの民族性というものを、正確に認知することができず、現代に至っている。方々の地域に暮らす動物たちは、各々がその場所に適応できるよう独自の身体の発達を遂げている。だが、例えば赤道直下の国々に住む動物が、ロシアのシベリア北部などで暮らせるわけはない。しかし、もちろん動物に聞いたわけではないが、彼らは自分の住んでいる場所こそが世界の全てだと思っているはずである。「井の中の蛙、大会を知らず」という諺はまさにこのことを言い当てている。鎖国化にあった日本も、これと同じような状況下にあった。すなわち、どこの国でもちょんまげに刀を差した侍がおり、幅を利かせているのだと思っていたのだ。無論、開国によってその幻想は確かに崩れ去った。しかし、そういった閉塞的な意識は、未だに日本人の中に根強く残っているのである。
 たしかに、普遍的なもの、全ての人が感動などを分かち合える物というのは、すばらしい物である。しかし、自身が含有する民族性を自覚し、それと向き合い、創作をすることが第一である。それが、万人の理解を得られれば、それはすばらしいことではあるが。「先を見すぎると、足元の小石につまずいてしまう」ことを、肝に銘じておくべきである。

   講評   kira

 ルフィくん、こんにちは。今回のテーマをより肉付けして理解するには、やはり「国家の品格」お薦めです。普遍性を否定して、民族性を重視していくといった動きに、私たちがしばしば二の足をふふのは、日本至上主義になってしまうのではないか、かつての戦時下のような国粋主義になるのではないかという怖れも手伝っているのではないでしょうか。
 それに答がありました。つまり「愛国心」ナショナリズムと、「祖国愛」パトリオティズムとは違うというのです。この違いをちゃんと理解しなかったために、戦争の反省といっしょに私たちは祖国の文化への愛も封じ込めることになったのでしょう。
 国外への憧れが原動力となって発展した学問もあるでしょう。日本だけがすばらしいなどと唱えれば、たちまち非難を浴びるでしょう。しかし、日本の文化、伝統、自然、情緒を自信を持って他に伝える事は間違ったことではないのです。
 国際化イコール均等化になってはいけません。多様な文化はおのおの異彩を放ちながら、相互理解を深めるべきですね。日本はもっと、自国を誇れ。まさに、今日、WBCで日本は決勝に駒を進めました。私は日本人の誇りを試合から、選手から感じました。そして、これは特筆すべき事なんだと感じました。
  

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