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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   慎重に   ノンキィ

 我々は、かつて「狩猟採集時代」を経験し、今また「消費遺棄時代」を迎えつつある。その生活の主たる様態を、拾うことから捨てることへと大きく変換させようとしているのだ。流通経済の専門家たちによって経済は円滑に機能し我々は満足しているが、その裏には消費を上回る生産というありえべからざる事態がある。
 今日の日本では、目の回るくらいの情報と製品が会社や人びとの間を行き来している。そして最近新聞の一面を賑わせている、会社間の頻繁な株の売り買いも、例えば私たちがスーパーでにんじんやトマトを買うのでも、スケールは違えどお金が動いているということ自体は同じである。このように私たちが発達した資本主義経済の中で快適に生活するためには、スムーズなお金の流通が不可欠だが、その流通経済の仕組みに見直す点もあるのではないか。
 2005年、京都の国際会議場で行われた京都議定書発行へ向けての催しの中で、ケニアの環境副大臣のワンガリ・マータイさんが、日本の「もったいない」という言葉が非常に気に入ったと講義をされたそうだ。ゴミ問題や地球温暖化が深刻な地球規模の問題になっている現代、このもったいないという精神はとても大切なものだという内容だった。私は幼いころから、物は大切に使えと教えられてきた。そして、私が教わったこの教えは別に珍しいことではない。物を長く丁寧に使うことは当然良いという認識は今も昔も、そしてこれからも当たり前のことであると思う。昔話の中で水に映る自分が加えている肉に欲を出した犬は自らの犬をも失ってしまった。もしその犬が自分の持っているものを大切にくわえていれば、犬には何の影響もなかったはずだ。私たちは毎日毎日大量のものを生産、消費する行為に潜む影響を、正しく理解する必要があるのである。(複数の意見1)(昔話の実例)
 しかし、現実はそううまくはいかないものである。実際に、日本では地球環境への影響が広く認識されているにもかかわらず、依然として人びとはものの生産、購入、消費サイクルをかなりの高スピードで展開している。それは、そうしないと産業が発展しないからだろう。もちろん私たち消費者は、流通経済全般のことをいちいち考えながら物を購入したり消費したりしているわけではない。けれども、雑誌を少し開いてそこに魅力的な洋服や生活用品がたくさん並んでいれば、買いたくなるのが人間ではないか。そうして私たちは物を次々消費し、新しいものが出来るたびにそれを買う。もはや捨てるために買っているといっても過言ではないような実態が今の日本にはあると思う。お金よりも大切なもの、お金で買えないものはたくさんあると信じている。けれど、お金がなければ日々の生活を営むことすら出来なくなる。そのような視点から見ると、今や私たちの生活の基本をなしているお金を円滑に流通させようと思うと、皆が一つのものを20年も30年も使っていると少々具合が悪いことも納得できる。(複数の意見2)
 「自国に対する賞賛が他国に対する軽蔑によって支えられているのであってはならない」という名言がある。私たちは今、大量に流通する製品からも、深刻に迫ってくる地球環境問題からも逃れることが出来ない状態にある。どちらかを優先してどちらかを犠牲にしてよいというものではないのである。行き過ぎた消費活動も、もったいない精神も良い改善策にはならない。ならば、双方がお互いの長所と短所を観察しあった上で、手を組んでいくしかないだろう。そうすれば、また新たな道が開けてくる可能性もある。いずれにせよ、どちらが正しいと簡単に決め付けてしまう問題にしては双方スケールが大きすぎるようだ。(名言の引用)(総合化の主題)


   講評   nara

 世の中には、「これ!」と決められることは数少ないのではないかと、長文を読み提出された感想文を読む度に思うよ。絶対善があるとすれば、それは神のみぞ知ることなのかもしれない。人間の日々の活動は、常に揺れ動く判断の中で、次の一歩を踏み出すために、悩み苦しみ答えを見つけ出さなければならないのだね。
 「もったいない」精神が日本人ではなく、外国の人から注目されたというところは、今の日本のあり方をよく示しているのだね。朝日新聞朝刊の4コマ漫画には「もったいないおばけ」が時折登場するけれど、そういうネタに響かない人も多いのかもね。親や祖父母に「そんなことすると、もったいないおばけが出てくるぞ。」と言われた経験がある人は、どのくらいいるのだろうか。
 第2意見は今までであれば、「もっとほしい・もっと便利にという思いが、技術を発展させてきた。」としているところだろうけれど、「流通」という視点を加えたのがいい。もちろん「流通」と「技術を発展……」とを絡めてもおもしろいだろうね。資本主義社会の場合、資本の動きがないということは、社会の停滞につながる。ただし、社会の活況が全て人類の幸福に繋がるかというと、そうではないから難しいのだなぁ。
 そう考えると「手を組んでいく」という立ち位置が重要になる。「売るだけではないメーカー」「買うだけではない消費者」などの出現が手を組むために必要になるのかもしれないな。

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