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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ありがとうO先生   オーロラ

 「それでは、転出される先生の紹介をします。」
校長先生の声で、ざわざわしていた校庭がいっせいに静まり返った。
「まず一人目、O先生です。」
「えーー。」
みんなは驚きの声を上げた。O先生は去年来たばかりで、みんなにも人気があったので、私もショックを受けた。
 O先生は、クラスを半分に分けてやる算数の先生だった。4年生のとき、私はO先生の方のクラスになった。あるとき、授業がいつもより早く終わったので、先生が
「じゃあ、今日はマジックをやろうか。ものさしを使ったマジックだよ。」
「やったぁ!」
みんなは喜びの声を上げた。その間に先生は、かげで何かをやっていた。先生の方からはセロテープを切る音がする。だから私たちは大声で
「ああ、セロハンテープで止めている。絶対そうだよ。」
とみんなに伝えた。
 さて、先生のしかけが終わると、いよいよマジックの始まりだ。まず、先生がものさしを持っていないのにものさしが手にくっついていて、その腕をもう片方の手でおさえて見せた。
「これはどうしてでしょう。」と聞いたので、みんなはすぐに
「セロハンテープでとめているから!」
と答えた。すると先生は
「ちがいまーす。実は指で押さえていたのでーす。」
「えー。そんなのずるいよー。」
「はいはい。では次を始めるよ。」
そしてまた先生がさっきと同じことをして、
「今度はどうしてでしょうか。」
今度はとまどいながら
「セロハンテープでとめていたから……カナ?」
とつぶやく人もいるし、別の案を考えて言った人もいた。先生が
「正解は、もう一つのものさしで支えていたからでーす。」
「ああ、そっかー。」
「そういうことねー。」
今度はみんな納得した。最後に先生が
「さあ、最後は何ででしょう。」
みんなは、もうセロハンテープはないと思ったので、いろいろな案を出した。そこで先生が
「答えは……セロハンテープでとめていたからでーす。」
「えーー。」
「ずるーい。」
 もう一つ、私が先生にお世話になって心に残っていることがある。授業で手を挙げたのに時間が来てしまって指されなかったとき、
「鴨澤さん、今日はいっぱい手を挙げたのに指すことができなくてゴメンネ。次回はいっぱい指してあげるからね。」
「は、はい……?」
私はびっくりして、何だかあいまいな返事をしてしまったが、そのときはとてもうれしかった。そして約束どおり、次の授業ではたくさん私を指してくれた。そのことは、今でもとても感謝している。
 そういうわけで、始業式では、今までのことに思いをめぐらしていた。でも、新しく来た男の先生を見たら、そんな思いも吹き飛んだ。その先生は、見た目や声までO先生にそっくりの、まるでO先生2号だったのだ。何だかちょっとさみしさがまぎれるような気がした。
 そして、4月21日。離任式があり、私たちはO先生に会えるのを楽しみしていた。ところが、O先生の新しい学校のある地域で、数日前から地震が多発していて、先生は学校をるすにするわけにいかないということで、欠席されてしまった。とてもさみしかったが、生徒を第一に考えるO先生らしいなと思った。
 別れというのものは、悲しいけれど、別れをきっかけに、毎日会っているときよりも、その人について考えたり、その人のことをよく思い出すものだということがわかった。私は、O先生に教わったことを、いつまでも忘れないだろう。

   講評   nara

 離任式の話が加わったことで、O先生の人柄がより伝わりやすくなったね。最後に会えなかったのは残念だったけれど、普通に離任式を済ませるよりも、会えなかったことでより深く印象に残ったかもしれないね。作文の流れもとてもよくなった。
 この前、テレビで昭和記念公園のことが紹介されていたよ。昭和記念公園といえばオーロラちゃん(笑)。勉強やバレエが忙しくなったけれど、また行けるといいね。おばあちゃんも楽しみにしてくれていると思うよ。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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