対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   苦手が得意に   うさちゃん

 「さあみなさんごいっしょに。」
「九十九十百八十、二百七十、二百七十、ぐるりと回って三百六十。」
今は算数の時間。私の苦手な算数だ。さきほどの呪文のような言葉は、『角度体操』と言ってうでを角度ごとにぐるぐる回す体操だ。その体操は、私の学校の算数専門のH先生が考えたそうだ。
 私の学校では算数を少人数で教えている。つまり、私の学年は三十二名ずつの二クラスであるが、それを約二十一名ずつの三クラスに分けて担任の先生二人と、H先生が二、三ヶ月おきに順番に教えている。H先生の番になると、みんな
「やったー!H先生だー!」
とジャンプして喜ぶ。私も嬉しいので、算数の時間になるとつい興奮しジャンプしてしまう。
 H先生の算数の教室は正式名を、少人数教室と言うが、そこを私たちは、H先生の教室と呼んでいる。H先生が勉強する教室ではないけれど、H先生がみんなのためにつくった算数に関係したパズルやゲームなどがたくさんあるから、なんとなくそう言っているうちに、それが口癖になってしまったのだ。H先生の教室にあるカードゲームは、例えば、分数カルタ、小数神経すいじゃく、大きな数(兆、億、万など)お金かせぎゲームなどがある。私は今までの中では、お金かせぎゲームが一番楽しかった。
 他には『計算フォー』と言う×÷+−をはめる虫食い算のようなもので、はやりのレイザーラモンの『フォー』をひっかけて算数の時間が楽しくなるようなプリントもある。みんな正解するたびに
「正解フォー」
と立ち上がってばんざいをする。私がすると、周りの男の子は
「おまえには似あわねぇな〜」
と口々に言う。私は、複雑な思いだけれど、何となくおもしろくないのでそいつをぐっとにらみつけてやった。
 去年の夏、放課後、私が忘れ物を取りに学校へもどると、H先生が校庭のすみで、タオルをほっかぶりし、鼻の下に汗をうかべながら新しい算数ゲームを作っていた。その姿はまるでどじょうすくいのおじさんのようだった。古くなった机の板を電動のこぎりを使って『ギ〜』とすごい音をさせながら正方形に切っていた。
「先生何を作っているのですか?」
「ここに方眼状に釘を打ってな、ゴムを引っ掛けて形を作るんだよ。七十個作らないと、一人ずつ行き渡らないからな。」
とニコニコしながら、再び作り始めた。私は、先生が一生懸命作っているところを見て、算数をがんばらないといけないなあと思った。
 私は算数があまり好きではないけれど、ゲームをやりながらやると不思議と何でも頭に入ってきて、知らない間に算数が得意になっていることに気が付いた。みんなも私と同じだ。H先生の授業を受けて、苦手な事も楽しみながらすると得意になるということが分かった。
 今日は平行と垂直の勉強だった。角度体操に続く平行垂直体操ができていた。わたしにとって2回目の体操だ。教室にはたくさんの笑顔ができた。平行体操は上手に出来たが、三角定規で平行を書く事には閉口してしまった。でも、H先生の授業だから、そのうち得意になると思う。

   講評   tama

 楽しい勉強方法を教えてくれ、生徒のために汗水流して一つ一つ教材を作ってくれる先生など、なかなかいるものではありません。よい先生にめぐり会い、題名どおり「苦手が得意に」なって、本当によかったですね。
 こんな授業なら、私も受けてみたいなあ(笑)。

※ 6月30日はお休みです。




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