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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   権利と主張   紫式部

 アメリカ・オレゴン州の街ユージーンは生活リズムがゆったりとした小さな街。ここでは町の中に障害者が溶け込んでいた。対等に障害者と向き合い自然に接することが当たり前のようにできる街だったのだ。また、イギリスの児童文学作家、ローズマリー・サトクリフの自伝「思い出の青い丘」を上げて、障害者の「傷つけられる権利」を問題提起している。障害者が傷つかないように周りの人間が守ってあげるあまり、障害者から苦労を遠ざけることになる。つまり、苦労のするのも障害者の権利なのだという。さて、どのような向き合い方が障害者と対等な関係を築けるのか、考えてみた。
 まず、障害者にどんどん手を差し延べるというやり方だ。本当に困っている人がいたらすぐにでも手を差し延べるべきだと思う。私は英語の塾に通っているのだが、その帰りに必ず目の見えないおばあちゃんに会う。歳は60歳くらいで障害物をよけるために杖を自分より前に突きながら進んでいく。慣れているのだろうが、少しおぼつかない足取りなのでつい心配してしまう。地下鉄に間に合わないと思いながらも少し離れて隣を歩いてしまう。信号機が赤から青に変わったとき、「変わりましたよ。」と教えてあげた。すると、一瞬びっくりしたような顔になってそれからとても嬉しそうな顔をしてくれたのだ。このように手を貸すことで、相手を助けることもできるし、自分も嬉しい。また今は障害者に合わせた街づくりも進められている。車椅子のため信号機の押しボタンの位置を低くしたり、点字をいろんな所で使ったりと、いろいろ工夫している。これも障害者に手を差し延べる行いの一つだ。
 次に、サトクリフの意見でもある「自ら頑張る」、「苦境に直面する」権利を与えるべきだという考えだ。障害者を一人の人間として考えてあげることが大事だといっている。障害者に手を差し延べるのは大事だが、これはある意味障害者を下に見ている行為とも言える。「あーあ、あなたはこんなこともできないの?」「じゃあ、やってあげる。」という気持ちでやっている人もいるはずだ。サトクリフはこれではだめだと言っている。出来なくて悔しい思いをするのも、周りから何かをいわれて落ち込むのもすべて自分の権利だというのである。そしてその「苦境に直面する」ことで得たものは少なからずその人の今後の人生を助けてくれる力になるのではないか? と思った。私の学校には今年から新しく特別支援学級というのが設けられた。今通っているのは2人で一人は脳に障害がある子、もう一人は目に障害がある子である。障害を受けている場所はまったく異なるものの共通いている点が一つあるのだ。それは、手助けを受けすぎると必ず強い力で拒否反応を起こすのだ。二人が先生と一緒に何かをやっているのをよく見かける。先生は常に二人のあとに付き手助けをしている。水を飲むとき蛇口をひねったり、玄関で靴を履くとき靴を出してあげている。そんな時、二人は拒むように先生の体を押す。強く、強く。それは意識的な自分の権利を主張しているわけではないだろう。しかし、少なからずそのような感情があると私には思えるのである。
 障害者に手を差し延べる事は大事であるし、障害者が傷つけれられる権利や頑張る権利を尊重することも大事であるが本当に大切なことは何だろう? 「子供は大人を小さくしたものではなく、それ独自の価値をもっている」ということわざがあるように子供(障害者)として判断するのではなく、独自の価値を持っている一人の大人(一般人)として対等に付き合っていける社会を作ることが大事であると思う。
 

   講評   kira

 紫式部さん、こんにちは。今回の作品は「人権」を考えるテーマでもありますね。最近よく耳にするバリアフリー。単に段差をなくすという物理的な意味ではなく、心のバリアフリーとして使われることが多くなってきました。障害を持つ人も、健常者も、ともに手を携えて生きる社会になろうとしているのですね。
 そのためには、私たちが思いやる力、想像力を持つ必要があるでしょう。紫式部さんは、おばあちゃんの目線になりきって、思いやることができたのですね。
 しかし、その想像力はもっと進めて、その人が自分の力を出そうとする自由を守ってあげることも大切です。学校の中に設けられた新しいクラスに障害を持つ子どもがいて、その姿からも「苦境に立ち向かう権利」を感じるのですね。そうやって、自然に境界線がなくなるのがいちばんですね。
 私も、車椅子の体験をしたときに、ある障害を持った人の講演会を聞く機会があり、次のような言葉が心に残りました。
「私たちの職業訓練などの施設に慰問にもられるみなさんが、決まって言う言葉に『がんばってくださいね』というのがあります。でも、その言葉は私たちにとてもきつい言葉です。なぜなら、私たちにはがんばる場所がほとんど提供されないからです。どこでがんばればよいのでしょう」
 私たちは共に生きると謳いながら、今だにどこか自分たちと違う世界をつくり出しているのではないでしょうか。問い直してみたいですね。


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