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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自己確認   haru

 バルカンの歴史は宿命であるのだと、かの地のナショナリストは言う。この歴史における断層があまりに協調されすぎると、セルビア対クロアチアの抗争は必然の運命として片付けられることになる。だがバルカン地域の問題は、過去が現在を決定するというよりは、現在が過去を操っていることにあると言えよう。かつてフロイトは、二人種間の違いが実際には小さければ小さいほど、その差は想像の中で不気味に増幅されていくと主張して、この現象を「微差のナルシシズム」と呼んだ。これがとんでもない作り話をこしらえることになる。こうした、言葉による事前の煽り立てが、共生関係を切り崩し、やがて現出する殺戮世界の下地となっていった。それにしても不可解なのは、このような民族主義者のこしらえ話がなぜ根付いたのか、なぜ悲劇にまで発展したのか、そして民族共生の平和はなぜ崩れたか——不倶戴天の敵同士ですら、この問いには、今もなお、満足には答えられずにいる。しかし、一つだけ言えることがある。それは、私達は相手との比較によって自己確認すべきではない、ということだ。
そのために考えられる方法は二つある。
(第一段落 要約・意見)
 第一の方法としては、自分に自信の持てることを見つけることだ。いじめというのは、必ず相手との比較から始まる。中には妬みから始まるものもあるが、大抵のいじめは自分との比較だ。例えば、○○よりも自分の方が“えらい”、“強い”というような偏った安心感や優越感が芽生え、仲間を集め始める。よいうよりも、その“リーダー”という者に弱い者が仕える、と言った方が適切であろうか。とにかく、いじめる側はいつも複数であって、絶対に一人では出来ないのだ。なぜなら、自分に自信がないからであろう。自分に自信さえ持っていれば、相手を気にすることはない。色々な事に挑戦し続け、その中で自分がプライドを持てるようなものを見つける、そうすれば自然と相手を攻撃しなくとも自分自身を確認出来る。
(第二段落 方法1・体験実例)
 また、第二の方法としては、敵を想定しなくても済むように国の内側を安定させることだ。国をクラスに変えて例えてみると、安定=団結である。私は今、この四年間で味わったことのない程の“まとまりのないクラス”で毎日を過ごしている。その上、クラスのリーダーまで引き受けていつので毎日が“まとまりのあるクラス”を目指す、言わば試行錯誤の日々を送っている。六月、学校中が燃えるスポーツ大会の時期がやってきた時にはこちらが沈んでしまうような気分だった。スポーツ大会は二日にわたって行われるのだが、一日目は応援合戦と言って、同じクラスの三学年をひとまとまりとして、決められた時間内に踊ることになっている。ほぼ毎日、放課後に高二・三の先輩方と一緒に練習をするのだが、私のクラスは明らかに出席率が悪かった。リーダーがクラスに声を掛けても沈黙の連続。練習に来ない子達に暇さえあれば必死に振りを叩き込む始末だ。案の定、応援合戦の部は賞を取ることが出来なかった。しかし、二日目のバレーでは、皆が昨日の事を反省し、普段あまり行事ごとに参加しない子達も声をからして応援していたし、内出血を起こしながらも必死にボールへと立ち向かっていた。残念なことに、こちらの方も一つも賞が取れなかったが、賞をもらうことより大切で貴重な経験が出来たと思う。クラスが一つにまとまった瞬間だった。このように、クラス内、国内を安定させれば、何が起こっても怖いもの無しなのだ。
(第三段落 方法2・社会(体験)実例)
 確かに、相手との違いで自分自身を見つめることも大切なことだ。しかし、自分の問題を棚に挙げて、相手と比べる、或いは相手を攻撃して自分を安心させるような自己確認の仕方は不毛である。真の自己確認とは、相手など全く関係なく、自分で自身を見据えることなのではないだろうか。人生のどの場面においても、時折立ち止まって、自分自身を見つめ直し、自信へと繋がる何かを見つけられれば素晴らしいと思う。
(第四段落 反対理解・自作名言) 

   講評   tama

 字数が増え、読み応えのある文章になっています。主題がぶれることなく、終始一貫した意見でまとめたところがすばらしいです。

【方法一・実例】 常にだれかと比較するのではなく、自分に自信の持てることを見つけられれば、自分を肯定的に見ることができますね。他者との比較だけでは、世界が狭くなり、成長は望めません。よい意見です。

【方法二・実例】 はるさんの所属する社会である「クラス」を例に挙げたところがいいですね。まとまりのない社会が敵(悪者)を倒すために一致団結するというのは、一見よいことのように思えますが、個人の内面、さらには社会全体の安定がなければ長続きしません。一つの目標に向かうことができたのは、クラス内が安定し、集団の中で自分の役割(立場)を確認できたからこそである、というように主題に結びつけていくといいでしょう。

【自作名言】 名言は、言い切る形が望ましいです。(その方が説得力があります。)よい意見ですから、自信をもって書いていいのですよ。(^^)
 
 難しい長文でしたが、かなりよく読みこみましたね。立派です。



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