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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自然は怖い   ノンキィ

 人類の歴史は、いかにして原初の火を手なずけ、制御可能なものにするかという挑戦の歴史である。今では、たくましく焔をあげて燃える原初の火に触れる機会が少ない代わりに、 火の機能の代替物が生活の隅々にまで侵入し始めている。現代の火は、飼いならされた柔順なしもべであると同時に、他方ではいつ暴走するか知れないものである。
 私たちの身の回りに、火を利用したものはどれだけあるだろう。ヒーターやオーブン、湯沸かし器も全て火の性質を応用して開発されたものだ。あるいは、水を制御可能なものにした結果、蛇口をひねればすぐに水があふれ出る。そんなものに囲まれる日々の中で、自然災害や火事といった自然の驚異が、予測するのも制御するのも人間の力では依然及ばないことを私たちは忘れかけている。人類が誕生するよりもはるか昔から地球の生命体を支えてきた火や水の本当の姿を知り、これから生きてゆく中でそれらの偉大さを覚えておきたいと思う。(主題)
 私はこの間友達と、映画“海猿”を見に行った。いわずと知れた、海上保安官の命がけの人命救助の物語である。涙もろい私が思わず泣いてしまったのは言うまでもない。隣に座っている友達と、計80分ほど泣き続け、映画終了後には悲惨な顔で映画館を後にした(笑。そんなことはどうでもいいが、“海猿”の中で私が特に衝撃を受けたのは、全てを飲み込む水の恐ろしさだった。この水が、量や温度を自在に制御できる水道の水と同じものなのか。考えて見れば当たり前だが、実際にスクリーンで見た海は私の想像以上に大きかった。そうしたことを知るのは、生の自然を直接疑似体験できるよい方法だと思う。生物に与えられた命はそれぞれ一つしかないので、実際に津波や火事を体験することはきわめて危険である。ならば、せめて知識だけでも自然の大きさや偉大さを知る必要がある。(複数の方法一)(ユーモア表現)(体験実例)
 もう一つの手段は、自然の猛威についての想像力を養うところにある。直接的な体験が出来ないのなら、もっと身近な体験から創造を膨らますことが不可欠であると思う。例えば、夏休み前に学校で水泳の授業があったのだが、水がどうしても怖いという友達にそのわけを聞いてみたところ、水が鼻や口から流れ込んできたときに命の危機を感じてしまうからだそうだ。なんて大げさな理由だろう、と一瞬思ったが、よく考えてみれば火や水が私たちを襲ってきたとき、私たちになせる術はない。プールの水が恐ろしいのは、ただそのミニチュア版に過ぎない。普段考えても見ないことを想像して、人が自然の前でいかに無力な生物なのか思い知った。日常のふとしたときに、そんなことを考える機会があれば、自然を支配したつもりになっている人間の愚かさが見えてくる。(構成2)
 もちろん、自然を過度に恐れる必要はないし、彼らをなんとしても征服しようとする人々の熱意の恩恵を、私たちはたっぷり受けていることも事実として認めざるを得ない。ただ、これだけ自然を利用してきた私たち人類はそろそろ「寒さに対抗するいちばんの方法は、寒さに満足することである」ことを知らなければならないのではないか。オーストラリアの先住民は古代から、人類の立場ではなく自然の立場にたち、災害が起こることを前提に自然と付き合ってきたという。何かを私たちの都合に合わせて変えるのではなく、私たちが相手の都合によって変わることの重要性に人類は一刻も早く気付く必要がある。(主題)(表現)

   講評   nara

 今回も素晴らしい出来ばえだね。この内容を70分で仕上げるとは見事な集中力だ。仕上がったときはくたびれただろうなぁ(笑)。もし、そうだとしても、決して嫌なくたびれかたではないはずだろうけれど。
 海猿や、山岳救助隊など、自然に関わる仕事をしている人たちからよく出る言葉に、「自然に対する畏れ」がある。畏れの気持ちを持たない身勝手に振る舞ったことによるトラブルに、怒りを持っているようにも思えることもある。この時期、増水した川辺で遊んで中洲に取り残されたり、遊泳禁止なのに海に出たり……毎年のように耳にするね。
 体験することは、身をもって知ることになるのだから、一番手早く確実な方法であることは間違いない。今回難しかったのは、自然の力を実感するような体験は、命をもおびやかす可能性が高く、それを「やってみよう」と安易に提案できないところだ。ノンキィさんの提示した二つの方法は、その点をうまくクリアできたね。
 フジ(小6相当)11月3週長文をぜひHPで確認しておこう。まとめの段落にオーストラリアの先住民について書いてあるけれど、日本人も昔は自然に対し、「畏怖」というものを持っていた。農耕民族として当たり前のことだったのだろうね。日本が農業から離れるにつれ、自然との関わり方が大きく変化したという視点も不可欠だ。
 「相手を変えようとするな。自分が変われ。そうすれば、相手も変わる。」とは人間関係の指南本でよく言われることだ。これは対人関係だけでなく、対自然でも言えることなのだね!

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