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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   岐路に立ったとき   ジョニー

 冬に例年にない走り込みをして、今年こそは優勝を、と団結を強めていたのだが、三年の夏休みを前にした暑い午後、宗介はコーチの浅野に退部を申し出た。前日、夏休みの練習計画が浅野から発表されたのだが、毎日朝九時から夕方六時まで練習メニューが決められ、休日は一日もなかった。自分自身、サッカープレイヤーとして一人前になれないことは分かっていた。夏の練習に参加すれば受験勉強ができなくなる。
「ああやって懸命に練習している仲間を裏切るのか」
「自分の生き方を自分で決めただけです」・・・・
僕も、自分のことは自分で決めることは大切だと思う。ただし自分で決めたことに後悔しない事が大切だ。
 僕は今、中学2年生で、部活は水泳部だ。冬は皆で筋トレをするぐらいだが、この夏休みは部活動で学校に行く事が多くあった。3年の先輩たちは、夏休みの大会を最後に全員引退した。それが例年の水泳部のルールになっているから、僕も中3になったら、夏休みの大会を最後に引退するのだろう。だから、それまでは部活動を頑張って続けようと思っている。しかし、宗介の場合、とてもきつい立場に置かれおり、精神的に大変辛い思いをしていて、気の毒に思う。僕が宗介の立場だったら、宗介と同じ決断を下すと思う。僕の通っている学校は、公立だが宗介の学校と同じようにサッカー部の活動がとても厳しく、おととしは全国大会でベスト8に入るくらいの成績をおさめている。当然、サッカー部に入ったら、遠征続きでお金もかかるし、定期テスト前日も練習している。3年生になっても部活はずっと続く。僕は中学生になってから学習塾に通っているが、入塾する時、塾の先生から「サッカー部だけは、塾との両立はむずかしいと思うから、そこのところをよく考えておいてください。」といわれた。そういう状況の中で、去年、中3の先輩が、僕と同じ塾に通いながら、サッカー部を中学3年の最後までレギュラーで続けた。夏休みも部活で夏期講習に思うように出られなかったらしい。塾の先生たちもその先輩のために補修をたくさんしてあげて、先輩は、市内で1番レベルの高い県立の進学校に特別推薦で合格できた。そこの高校は、本来、推薦枠は取っていないはずなのに、文武両道の先輩を特別推薦という形で入学許可を与えたのだ。先輩も、普通受験する覚悟でいただろうし、初めから、こういう結果になることは予想していなかったと思うが、結果的に、最難関校受験合格と部活動を最後までやりぬくという両方のことを達成した。「二兎を追うものは一兎をも得ず」と言う言葉があるが、先輩は二兎を得ることができた。先輩のように両方をやりきってしまう事ができる人は数少ないと思う。両方をやりきるという決断は、ものすごい覚悟と強い意志が必要となるが、後悔をしない最良の決断なのかもしれない。
 僕の母は、中学生の時テニス部に入っていたが、中学2年生の夏休みの後、退部したらしい。「以前から続けていたピアノのレッスンを頑張りたいから」と先生に言ったが、本当のところは、勉強と部活の両立が厳しくなってきて、勉強に力を入れたいと思ったからだそうだ。しかし、部活をやめたからといって、部活に今まで割いていた時間をすべて勉強に当てたわけでもなく、漫画を読む時間が増えただけだったそうだ。大人になった今も、部活を途中で投げ出してしまった、中途半端なあの頃の自分を後悔しているらしい。「結局あの頃の自分は、両方頑張るということから逃げてしまっただけだ。」と話してくれた。「最後まで一つの事をやりぬいた時、初めて達成感と自信がつくと思う」と話してくれた。
 もう一つ、後悔しない為には、自分が本当はどうしたいのか、自分の心と向き合うことが大切だ。僕の父親の妹である叔母から以前きいた話がある。叔母は、小学生の頃スイミングクラブに通っていて、選手コースで毎日厳しい練習を続けていた。ある日、小さい体で大きい子達についていくのが、体力的に辛くて、コースの途中で何度も泳ぐのを休んで立ってしまい、帰宅してから、そのことで母親に根性がないと怒られた。そこで、叔母が泣きながら「もう、やめたい」と言ったら父親が「そんなに嫌ならやめちまえ」と言ったので、そこで水泳をやめる事になってしまったらしい。でも、本人は体が辛かっただけで、水泳を辞めたいというのは本心ではなく、あの時、両親が自分の話をもっとよく聴いてくれて、励ましてほしかったと言っていた。自分はあの時、水泳を辞めてしまったことで、挫折感を味わい、大人になった今でもとても後悔している。だから、親の態度は子供にとってとても大きく影響するのだということを、僕と母に、自分と同じ思いをしないようにとの思いで、自分の体験談を話してくれた。
 宗助のように、自分で判断することは大切だ。しかし、「後悔先に立たず」という明言があるように、それが逃げではないか、本当に後悔しないかを自問自答して、よく考えてみる事が大切だと思う。

   講評   inoko

 ジョニー君、こんにちは。最近は、ただ何となく毎日楽しく生きることができればいいという考え方をする人が、とても増えていると聞きます。そんな時代に「信念を持って生きよ」と言えば、かっこ悪いと笑われそうですが、せっかくこの世に生を受けたのですから、何か一つのことでも腰を据えて頑張らなければもったいないと思います。後悔先に立たずということわざもあります。自分自身の人生ですから、自分の頭で考えて、前進することが必要ですね。
☆ ジョニー君は、周囲の大人の体験談を自分なりにきちんと理解して、そこからいろいろなことを学び取っているのですね。今回は、信念ということに関わる様々な体験談を例として挙げています。ただし、二つの理由として考えてみると、少しわかりにくいようです。いつものように、これが理由だとわかる文をそれぞれに入れておきましょう。


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