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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   現代のCM   シュシュ

 「コッカコーラを飲もうよ♪」と倖田來未が笑顔で歌いながら踊る宣伝がある。ダイエットコーラの宣伝だが、味についてはほとんど触れていない。そのため、「倖田來未が踊っている」ということの方がコーラ自体よりも強いイメージとなって人の記憶に残るだろう。最近では、このように宣伝したいものの機能ではなく、テレビCMのイメージばかりが強くなっているCMが多い。しかしこれは、ものとCMのイメージの間に大きな差を作ることとなり問題である。
 考えられる第一の原因は、日本が第二次世界大戦で敗戦し、欧米の文化が急激に輸入されたという歴史的背景にある。戦後の日本人にとって、アメリカの生活は大きな憧れの象徴でもあった。テレビドラマでも「奥様は魔女」などの外国のものが多く放送されたこともそれを助長したのだろう。人を動かすためのイメージの力は、いつのまにか実際のテレビCMにも使われだしてしまったのだ。今コンビニには多くのペットボトルのお茶がある。味には大差ない気もするし、多くの人はどれを買うか迷うだろう。私はそんなとき、CMのイメージで決めることが多い。生茶パンダというパンダのキャラクターとCMに出演している松島奈々子がかわいいから、以前は生茶を買うことが多かった。しかし最近は、宮沢りえの古風で印象的なCMがすぐに思い浮かぶいえもんを買うことが多い。私のようにものを買うときにCMがきっかけとなる人は意外と少なくないだろう。現在の日本で売られている同じ値段のものには機能の優劣の大差はないはずだからだ。
 第二の原因は、ものを生産する側の技術が上がって、以前のように革新的な製品が生まれなくなったという社会的背景にある。昔テレビが発売されたときには、テレビを買った近所の金持ちの家に集まってみんなで見ることもあったほど、多くの人が影響を受けた。しかし、今ではそのようなものは生まれない。機能の面で大きな差を作ることが難しくなったため、宣伝で他の製品との差を作る必要がでてきたのだ。鳥類は、身体的な差が進歩を終えたためほとんどなくなってしまったため、亡き声や見た目で差をつけるようになった。今のCMも、これと同じような状況である。(自然科学実例)
 確かに、宣伝は人々の生活を豊かにしてきた。しかし現代のCMの、製品との大きなギャップを作る過剰な演出は問題である。村上春樹の「海辺のカフカ」という本に、カーネルサンダースという登場人物が出てくる。彼は主人公が旅の目的を遂げるためになくてはならない手助けをする大切な人物だ。しかし彼は、観念としての存在である。目的達成のためにカーネルサンダースという洋服を借りているだけで、実在はしないものだ。現在のCMは、製品について消費者に伝えるのではなく、このように製品から離れた実体のないイメージばかりを作っている。しかし消費者が本当に求める宣伝は、製品の脚色による実在しないイメージではなく、製品の実体を伝える具体的で客観的な指針である。

   講評   nane

 書き出しが現代的でいいね。倖田來未って知らないけど。(笑)問題提起は、「CMとイメージの間に」ではなく、「イメージと実体の間に」では。
 第二段落にあるように、商品選びは、確かにイメージで左右される。商品の差がなくなり、イメージぐらいでしか勝負できなくなったということなのだろうね。逆に言えば、それだけ企業間の競争が激しく、独創的な商品もすぐに真似をされるということなのかもしれない。
 自然科学実例は笑える。(笑)進化が終盤に近づくと、実力よりも外見で差をつけるということか。マンモスやサーベルタイガーなどは、生存に不向きなほど定向進化をした。今の広告にも通じそう。
 結びの段落は、リズミカル。名言のセンスもいいね。


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