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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   柔軟性と機能\性のバランス   えにほ

政治家や政府の高官が役得を利用し巨額な汚職に関与していたと云うニュースはそんなに珍しい物ではなく、洋の東西を問わない。ほんとかどうかは知らないが、あの人ならそんな腹黒い事もしそうだと思える政治界の噂の報道も珍しくない。その時の政治の動きで疑いを都合良く着せられてしまう政治家や事業家もいるに違いない。とくに、時代が変る過渡期に、昔からの政治のからくりで培って来た政治の人間関係や金脈が、新しい時代の法律や政治理論に反し、暴かれ大きな事件になる事があるからだ。ロキード事件の元田中首相や、地方政治でつり上げられている談合事件にかかわった容疑者は良い例である。これらの事件に関与した人達が潔白だとは云いがたいが、時代の流れを考慮すると事件の複雑さを感じる。汚職事件が明るみに出る背景には、政治、金融界のやりとり、慣例が昔の村政治延長線からの脱皮過程の劇場になったとも云える。アメリカも、民主主義が建国以来の基本となっているが同じである。グローバル化に伴う投資金融の時代の初めに、一般市民の投資家、政治家を騙したエンロン事件を起こしている。新しい金融資本の管理システムができる前の節穴を悪用した事件だった。洋の東西を問わず、この類いの汚職事件は、犯人の腹黒さに集中するのが典型的な報道の仕方である。しかし、なぜそんな「汚職事件」に発展する役得の構築が可能だったのか、どの様にその役得が維持され展開されたのか等の問いを先行すると、結構組織、社会の仕組みにも問題がある事に気づく。つまり、役得なるもの、その時代と組織の文化に根ざしている事が多く、巧く行けば時代に乗って良い結果となるが、悪く場合は時代の流れの溝にはまり込み汚職事件へと発展する事がある訳だ。日本の場合も、新しいグローバル資本の台頭で、今までの政治、経済体制が揺らいでいると云える。 日本の新しい時代のプレイヤーは小泉首相が基盤を造ったアメリカ的な人材の様にも思える。しかし、今現在、日本独自の公平性、人間性を巧く潤滑油として使える時代を構築する事が大きな課題である。

第一の対策としては、もう一度日本人の強み、「公私混同」の原点を考え直し、現代風に置き換えてみる事だ。会田雄二が日本の高度成長期の昭和40年代に説いた日本人の意識耕造。日本人である物として「公私混同」をあげている。村政治に基づく偏狭な世界では無く、幅に広い新しい日本語の世界、文化を創れる道徳的共同体意識を培うものが必要である。

第二の対策としては、新しい企業組織の考え方を探求する事だ。失敗学として多くの本を出している畑村洋太郎によると、大きな発明は一直線思考ではありえない。たいてい失敗を生かし、乗り越えて実り、企業としては長い目でみた人材や環境の投資が必要だ。多くの場合、新しい考え方や見方は学会などもかえってあしらう傾向にあり、大きな弊害として立ちはだかる。ある意味で企業も従来の管理体制を見直し、新しい物の見方、捉え方を奨励するための遊びのスペースがいる様だ。難しい事に、普通、安定性が確保できる時点では一般に成長期を超え安定持続型になってしまい、型破りな事にチャレンジしなくなる。そのチャレンジと遊びの精神を持ち続けるのも云うのは易い。しかし、昔ながらの役得にこだわっていては企業の将来にかかわるとも云える。

確かに、どの社会、組織にも役得は存在し巧く機能している場合もあるし、時代遅れで将来性の無い物もある。どの官僚のシステムも中に長くいれば、既成の役得文化に慣らされてしまう危険性がある。確立した文化に頼りすぎると斬新で将来性のあるアイデアを物にするチャンスを逃すどころか、変化する現実をも見誤ってしまいがちだ。どの組織も柔軟性と機能性の二つを巧くバランスを取るのがこれからの課題と云える。『自作名言』

   講評   unagi

 <1>社会実例を豊富に挙げながら「役得」を説明している導入です。主題:「日本独自の公平性、人間性を巧く潤滑油として・・・。」

 <2>対策1「道徳的共同体意識を培う」:会田雄二を読書実例とし、日本の強み「公私混同」を現代風に置き換えることを提案しています。「村政治に基づく・・・。」というつけ加えが意見をさらに明確にしています。
                  
 <3>対策2「新しい企業組織の考え方を探求する」:『失敗学』を第二の読書実例とし、対策2を説く段落です。第1段落「その時代と組織の文化に根ざして」という大事な部分に深く関わる対策が書かれてあります。
 <4>全体をまんべんなく踏まえたまとめとなっています。項目もクリアです。

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