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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ボランティア   シュシュ

 イギリスへ旅行へ行ったとき、貧しい人が安く日用品を買えるように善意で集められた商品を売っている店を街で多く見かけた。クレヨンから洋服まで何でも売っていて、店の前の看板には大きなハートマークがついていた。しかし日本には、リサイクルショップなどはあるものの、このような店は少ない。外国に比べると、ボランティア精神に基づく組織や活動が少ないことは、現代の日本社会の問題である。
 考えられる第一の原因は、日本人には時間的な余裕がないことである。第二次世界大戦で敗れ、その後急速な近代化を目指すためにがむしゃらに働いてきたという歴史的背景が関係しているのだろう。私の母親は、最近新しい職場で正社員として働き出した。仕事の終了時刻は5時なのに、毎日残業があり遅いときには8時くらいまで仕事をしている。その上、ときどきは付き合いの飲み会があるらしく、もっと帰りが遅くなるときもある。ちなみに、今日は忘年会で、飲み会の前にボーリング大会もあるそうだ。母は嫌だと言っていたので、私はなら断ればいいだけだと思ったけれど、そうもいかないらしい。普段から平日に何時間も働いて、その上土日にも見知らぬ人のために無料奉仕する気になることは難しいだろう。
 第二の原因は、日本人は大衆を自ら先導することを嫌う傾向があることだ。羊の群れが狼を見たら、ふつうなら羊はおびえて逃げるだろうが、その羊の集団にヤギが一匹いると、ヤギが先立って狼に立ち向かい、狼の方がおどろいて逃げるそうだ。(自然科学)日本人の中にも、ヤギのように多くの人を先導してくれる人がいれば、ボランティアの活動に参加する人は意外と増えるのではないだろうか。例えば、もしテレビに多く出演している有名な芸能人が、ボランティアに参加していることをアピールしたり、何か組織を作ったら、普段テレビを見ている一般人が、ボランティアについて意識するようになるかもしれない。年に一度、24時間テレビが大規模に募金を集めたりしているが、それよりも日常的に奉仕の精神に基づいたテレビを放送した方が、効果的に日本人にボランティアの参加を促すことができると思う。
 確かに、自分の利益を追求することも大切だ。しかし現在のような、ボランティア活動のさかんでない日本社会は問題である。村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」という本には、心をなくした人が住む「世界の終り」という村がでてくる。心をなくしているので、余計なことを考えずにただ自分に与えられた役割を果たすだけで生活してゆく。日本の社会が終わりにならないよう、私達は他人を気遣うゆとりある心を持つことを目指すべきだ。ボランティアとは、される方だけが与えられるのでなく、する方も心に温度を与えられるものである。

   講評   nane

 イギリスの日用品の例から始めたのがいいね。向こうの人は、何でも自分たちでやるという感覚が強いのだろうね。日本では、自分たちでやるというよりも、どこかの会社がサービスとして提供する形が多い。
 時間的な余裕のなさの実例もわかりやすい。日本では、残業をすることがよいことだという文化がある。中には、付き合い残業もあるしね。時間内に仕事を終えるのが普通という文化にしないと、生活の余裕はなかなかできない。
 ヤギとヒツジは、いい例。日本人は、そう言えばヒツジに似ているかも。ヤギとヒツジを比べると、ヒツジはいかにも主体性がない(笑)。
 村上春樹の「世界の終わり」の引用はいいね。「ボランティアは……」の名言は、内容はこれでいいので、更に切れ味よくまとめよう。


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