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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   外国人に日本語を(感)   ポッター

 英語の場合には、お互いが客観的に「事実」を見て、その「事実」について語る。例えば、「見ませんでしたか。」というような否定の質問には、日本語と英語とで答えが逆になる。見なかった場合に、日本語では「はい」、英語では「ノー」と答える。日本語の場合、答え手は、まずその質問を受けた「聞き手」として、その質問文の「話し手」の視線に合わせて自分の行為を見、質問文と自分の行為との間に一致点を見いだして、「はい」と答えるわけだ。すなわち、日本語の否定は「質問」の文型あるいは質問者の意向に向けられているが、英語の否定は質問を受ける側の、現実の行為の有無に向けられている。だから英語では「ノー」とはっきり言うことができ、むしろ、事実を事実としてはっきりと否定することが、相手の尊重にもつながるわけなのだ。
 確かに、欧米人のように、自分の意見をはっきりと相手に伝える事は大切だ。曖昧な答えでは相手が理解出来なかったり、誤解を招いてしまうことがあるからだ。
 私の通う中学の吹奏楽部では、「返事をハッキリ!」というものが規則のうちにある。以前、私が遊びに行った時も、一人一人が大きな返事をしていた。ミーティングの最中、廊下にいても、「はい!」「はい!」という返事が聞こえたものだ。何故そんなに大きな返事をするのだろうか。部活に入っている友人に聞くと、「積極性とか、やる気を表す為だよ」という答えが返って来た。大勢の人がいる中で、少しでも認めてもらえるように、技能の面だけでなく、積極性も磨かなければいけないらしい。どんなに演奏が上手でも、曖昧な態度だと、「この子はやりたくないのかな?」という誤解をされ、コンクールに出させてもらえないこともあるようだ。
 “積極性”。これも、大切なうちの一つだろう。自分の意志を他人に伝える時、例えばディベートでも、「積極的」に発言しなければ勝ち目は無い。その意見に「自信」がなくても、「可能性」はあるかもしれない。曖昧な球ではすぐにホームランを食らうのがオチだ。直球勝負で、三振を狙うことが勝利への近道である。
 これからの国際化時代、我々日本人も事実に基づいて、「イエス」「ノー」という自己の意志表示を、はっきりさせることが重要だと思う。
 しかし、日本人が「いいえ」とはっきり言わないのは、他人に対する思いやりの気持ちがあるからだ。
 自分の友達が落ち込んでいるときに、慰めの言葉をかけてあげない人はいないだろう。少しでも相手が楽になれるように、「大丈夫?」とか「心配ないよ」と言ってあげたりする。相談に乗ったときなども、相手の意見が少し違うなと思っても、「それは違うよ!」とはっきり言わない。「確かにそうだけど…」という感じで遠回しに反対の意見を述べたり、「こんな考えもあるんじゃない?」と助言したりする。ただでさえ傷を負っているデリケートなハートを、更に傷つけてしまわないよう、優しくカバーして修復していく。「思いやり文化」の一つの特色ではないだろうか。
 日本の昔話で、「むじな」という話がある。むじなとはのっぺらぼうのことで、これは怪談話だ。この話で、晋作は女がむじなだとわかっていても、自分の徳利を差し出した。女(むじな)がお堀に徳利を落としてしまったと言って泣いているのが、可哀想だと思ったのだろう。お化けに対しても優しく接することができるのは、日本人独特の優しさの一つだろう。
 いじめや自殺・殺人事件が多く発生している最近の世の中、他人に対しての思いやりや、感覚を働かせる事も大切だと思う。
 確かに、誤解を招かないように自分の意見を伝える事も、相手を思いやる気持ちも大切だ。しかし、「トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである」という名言があるように、はっきり言うべきがそうでないべきか見極め、それ相応の態度をとることが大切だと思う。時と場合によって、「イエス」「ノー」を使い分けることが必要ではないだろうか。

   講評   inoko

 ポッターさん、こんにちは。日本人の曖昧な表現は、外国人にとっては何を考えているかよくわからず、不気味なものに映るそうです。しかし、最近、ハリウッドで日本映画のリメイクがさかんに行われるようになったり、日本のアニメがブームとなったりという話をよく耳にします。これは、日本的な物の見方や考え方も理解されるようになってきたことを表しているのかもしれません。ということは、曖昧な返事には、相手を思いやるという日本人の心があるということも、もしかしたら認知されるようになってきているということなのでしょうか。
☆ 吹奏楽部の廊下にまで聞こえてくる返事というのは、もしかして、「はい。」と思っていなくてもしなくてはいけない返事なのかもしれませんね。(部活もなかなかきびしい…。)
自分の意見をはっきりと伝えるべき時か、どうやって伝えるべきか。内容や相手によって使い分けられるようになると、人間関係も円滑に行くようになるのですね。相手がどのように受け止めるか想像する力、また自分の発言によりどのような影響が出るか想像する力。これがあるとないとでは大きな差がありますね。


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