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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   「私」から「我々」へ   紫式部

宇宙飛行士は宇宙で共通の体験をしていると思われる。それは、宇宙で眼下に広がる地球を見て、今ここにいる「私」はすべての生きとし生けるもの、過去に生きたもの、そして未来に生きるものすべてを含んだうちの「我々」なんだ、という連帯感を持つ体験だ。「私」という「固体意識」から「我々」という「地球意識」への脱皮である。このような意識の転換はいま世界の人々に求められている。
 自分の利益のことだけを考えて行動することは「独りよがり」で良いことではない。昔話「桃太郎」では、畑を荒らしにたびたびやってくる鬼を倒すため、仲間を引き連れて「鬼ヶ島」に行く。犬や猿やキジもきび団子たった半個で自分の身が危険になるようなことはしない。つまり、一行は自分の利益のためでなくみんなの幸せを望んだから鬼退治に行ったのだ。また、どんな分野の会社であれ、それをまとめる社長がいる。社長は自分のことだけではなく会社全体のことを考えることで社員一人一人が豊かになるようにリーダーシップを取らなくてはならない。しかし、ライブドアの堀江社長は自分の会社を私物化し、そして挙句の果てには部下に、自分の罪を部下に責任転嫁した。このように個の利益のみを追求しすぎると立ち行かなくなってしまうこともあるのだ。
 一方自分の利益を考えることが大切になってくることもある。自分が頑張ることによって周りもそれに影響されて努力し始めることだ。そして、全体の能力も上がる。一石二鳥である。「人のことに文句をつける前に自分のことをしっかりやれ」といわれるように、基本は自分である。自分の立ち位置や考え、行動が定まっていないと、人に何かを与えることが出来ないのである。まずは基本である自分の利益を大切に考えることも大事だ。
 このように全体の利益を考えて動くことも大事だし、自分の利益を考えることも大切である。しかし一番大切なのは、「私たちの幸福が、他の人の不幸に支えられているのであってはならない」という名言があるように、自分の幸せや利益が他の人の幸せに、他人の幸せが自分の幸せになりえるような社会を作っていくことが大切である。
 ペシャワール会という海外支援の団体を皆さんは知っているだろうか? アフガニスタンで現地の人に農業のノウハウを教えたり、生活に必要な井戸やダムを一緒に造ったりするのである。それは日本で集められた寄付によって支えられている。私もわずかだがこの団体に継続して募金している。日本から来た人と共にいろいろな作業をして、少しずつ自分の生活圏が良くなっていくことに喜びを感じてくれたなら、それは、遠い国にいる私たちの幸せになるのである。
 

   講評   kira

 紫式部さん、こんにちは。「個人のため」なのか「全体のため」なのかという問題は、生きていく上でさまざまな側面で問われてきます。
 鬼が島に鬼退治に行った桃太郎は、自分の立身出世のために行ったのではなくて、困っている村人達みんなのためでした。その全体に対しての行為が、じつは桃太郎への賛美につながって、自分のためにもなっている、ひじょうによい循環ですね。これを現代版で考えて、会社経営を取り上げてみたんだね。よい企業は、会社の利益が全体のためにも社員一人のためにもなっている。でも、破綻するような会社は、個の利益の追求に猛進しているというわけですね。
 自分の利益を考えることも大切です。ここはちょっと実例が書きにくかったかな。やる気や推進力の意味で、やはり個人的な満足感はエネルギーになると思います。
 最後に自分の実体験を紹介しました。海外支援のあり方については、金や物資を一方的に与えるといった間違いが横行していますね。紫さんが言うように「一緒に造ったりする」ことこそが生きる力の支援だと思います。それが紫さんの幸せにもなるのですね。まさに「自分の幸せや利益が他の人の幸せに、他人の幸せが自分の幸せになりえるような社会」の実現ですね。


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