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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   新しい教育   えにほ

地元に来た「ロダン展」に云って来た。ロダンに対して初めて興味を持ったのはもう何年も前になる。社会と創造力、芸術との関係を多く示唆することのできる人物だ。ロダンの事が気になり始めたきっかけは、「カミールクローデル」と云うフランスの天才的な女性彫刻家の悲劇な人物を描いた映画を観てからだ。簡単に云うとカミールはロダンの弟子として働き愛人でもあったのだが、捨てられる。あの時代に女性であれだけの才能、それも既成社会よりもすすんだ感性を型にする芸術家としてのカミールの存在は大きい。ロダンの存在も一生貧乏で発狂して終えたゴッホと比較すると雲澱の差である。芸術家の名誉は芸術家の活躍するその時代の背景との関係が大きな要因のようである。ロダンも貧乏で恵まれない環境に育った、しかし、市民社会の到来で多くの公共の場に飾る芸術アートのいる時代に入り、いろいろ社会から問題視されながらも名声を築いていった。結局は多くの弟子を抱え誰もが認める大物になった。そんなロダンを思うと、ゴッホも50年後に生まれていれば、そんなに苦労しなくても良かったのかもしれない。しかし、大芸術になる過程の苦悩は付き物なので、ゴッホの生きていた時代を抜きにして彼の芸術は存在しないとも云える。ロダン以前には感情、悩み、苦悩を持った人間を造りだす彫刻は存在しなかった。公共の場に置かれる彫刻はすべて優等生を型取ったものでしかなかったし、皆そうあるべきだと思っていた。多くの場合、どの時代に於いても、私たちは既成された言葉そして表現の世界に閉じ込められている。さらに日本の文学界を例に挙げると、村上春樹の書く小説がある。彼の作品への評価は大きく分かれているようだ。「横文字を並べるファションばかりの小説は日本純文学とは云いがたい」と云う専門家の言い分をよそに世界中の若者に人気のある村上春樹文学である。純日本的なものにとらわれない日本語を使ったお話が展開され、文化にかかわらず、多くの若者に読者をえている。彫刻にしろ、小説にしろ、誰かの創作作品をどのように評価するかが問題になる時がある。安部公房は、視聴覚文化と言語芸術を対立的に配置するべきでないと指摘する。さらに、安倍は「...視聴覚文化の現状は、映像の破壊力を利用するどころか、小説同様に言語の壁にがんじがらめ...」そして、「...言語の壁は、想像以上に堅固なものである」と云う。これからの教育について考える時、子供達の創造力や表現力をどのように育むか大きな問題である。
 対策としてはまず第一に、最近の研究で分かり始めている事だが、人間の可能性がもっと幅広いと云うことに注目すべきだ。自閉症で施設で育っているN君は言語でのコミニケーション能力は遅れているが、観たものをそのまま粘土で性格に再現できる素晴らしい能力の持ち主だ。科学者達は人間が言語能力を発達する時、何かほかの能力を失うことによって可能になっていると仮説している。一般の教育は言語重視の教育だが、教育を幅広く捉え子供の可能性を大切にする事から違った方法論も探求できる。
 又、もう一つの対策として、一般教育の読み書き、算数以外の教育は幅広く生徒によって選択のできる物にする事だ。短期から長期的な物を含めて生徒の表現力や創造力を養い育むものが必要だ。
 確かに既成された受験中心の教育から脱皮する事になり、大きな社会的な変化だとは思う。しかし、戦後続いた産業社会的、官僚社会を継続する大量生産教育の役目はとうに終わっている。あらゆる可能性、能力を備えた個人がどの様に繋がりを築くかが大きな課題となる。先生と生徒の関係もお互い「習う」もの同士と云う共通項で繋がり、切磋琢磨することになる。

   講評   unagi

 <1>ロダン、ゴッホそして村上春樹など、豊富な例を挙げながらの導入です。「カミ−ユ・クロ−デル」の狂気が示唆するものは、主題の根源に深く関わると思います。創造力と表現力を培う課題が予測問題の主題。
 
 <2>対策1「教育を幅広く捉える」:自閉症をもつある人物を挙げ、教育の改善を説く段落です。「科学者達は人間が言語能力を発達する時・・・。」が対策案をさらに説得力あるものにしています。
                    
 <3>対策2「科目の選択制を可能に」:主題に対する具体的な対策を挙げています。個性を伸ばすと同時に、常に同じクラス単位で行動する、という閉塞感を破る効果もあるかもしれません。
 <4>反対意見と主題。エッセンスに富む言葉を選んだまとめとなっています。

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