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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   死角   一休さん

 私は昔小学生の頃に、みなとみらいに友達とパイプオルガンのコンサートを聴きに行った。あの厳かな雰囲気や綺麗な音色は現在でも脳裏に焼き付いている。また、イタリアに旅行へ出かけた時に、独特の声で歌われたカンツォーネも鮮明に頭に残っている。しかし、この二つのコンサートに対する心情の記憶は大きく異なっている。オルガンを聴いていた時の大変重い空気は小学生の私には耐えにくいものだった。それに比べて、歌の明るい感じも一つの原因かもしれないが、観客も一緒に歌える参加型のカンツォーネコンサートの空気は、私にとって簡単に溶け込む事ができて楽しむ事ができた。感動を呼ぶものと娯楽を与えるものは、良し悪しの比較の対象として違う土台ではあるが、現代の普遍的な考えとして、演奏者と観客は隔離すべきだというものである。だから、私は隔離という一つの鑑賞方法に留まらず、観客も参加できるような鑑賞方法を実践する生き方をしたい。
 その第一の方法は、観客が楽しめるようなシステムを構築することだ。提供者とそれを受ける者の関係は大事だ。商品を扱う会社のほとんどは、アンケート調査を行っているし、希望や要望を随時受け付けている。このお客の参加を積極的に受け入れる態度は、さらにお客を呼ぶ。私は、毎朝目覚ましテレビを見ているのだが、毎月曜日の視聴者が参加できる企画がお気に入りである。ある二択の問題を番組のアナウンサーと共に解くのだが、正解は存在しない。というのも、「日本の国民食といえば、ラーメンとカレーのどっち?」というように問題というよりは質問に近いのである。携帯サイトでアクセスして答えを打ち込むだけで、不思議だが予想外に楽しめる。母が言うには、参加型の番組は視聴率が高いそうだ。(体験)このように、提供者と受諾ずる者は一体になると人間は楽しむ事ができる。
 その第二の方法は、一方的に誰かが誰かに働きかけるという関係だけではなく、お互いに影響しあって鑑賞をより良いものにしていくことだ。この間テレビで見かけたのだが、悪い塾では先生が一方的に生徒に勉強させ、生徒から先生への繋がりは完全に絶たれているそうだ。たとえ、理解しづらい箇所があっても、再度、説明を頼むこともできないため、頭の思考回路は滞ったままになってしまう。しかし、江戸時代の徳川吉宗は一方的な支配ではなく、征服される者達の立場も考えた。有名な史実だが、民の気持ちを取り入れるために目安箱を設置したのである。将軍の権力だけでは知る事が不可能な事柄を手に入れることで、民との一体を試みて、見事正解したのである。(伝記)このように、お互いを良くしようとして、そのための関係を築くと、本当にお互いが高まるのである。
 確かに、楽しまず静かに、受身で物事を受け止めることも大切である。受身でしか得られないものもあるからだ。しかし、受け止める側が与える側と協力する体制は、人の様々な可能性を拡大し、相乗効果を生み出す。一つの立場では必ず分からない死角が存在する。多角的に物事を見つめると、より死角の範囲が狭まる。「人という字を見よ。支えあって人は生きているではないか」という名言通り、与えるだけでは社会は成立しない。それは、色々な歴史的事実が証明している。鑑賞も同様で、同じ立場で与えたり聴いたりして、一体化するべきだ。だから、私は観客も楽しめるような鑑賞の仕方をする生き方を実現したい。

   講評   nane

 この書き出しは、読み手をひきつけるね。実際の体験をもとにしているので、説得力がある。また、内容も感動的。
 第二段落の、参加型の問題もいい例。これからウェブ2.0という言葉をときどき聞くだろうと思うけど、インターネット社会によって、双方向性が常識のようになってきた。文化全体が、参加型のものになりつつあるというところだね。
 吉宗の目安箱も、いい例。このように、第一段落と第二段落と第三段落の実例相互に広がりがあると、読み手にとって印象がよくなる。
 受身で吸収することのよさというのは、例えば基礎教育。小学校などでは、参加型の授業をしていたら能率が悪いからね。
 今回は、語彙間のバランスがよかったので、高得点だった。この調子でがんばろう。


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