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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   コミュニケーション   JOKER

 教室にいて、携帯電話の画面に目が釘付けになっている生徒が多くなってきた。教科書を借りたい時、相手の教室に行く前にメールで確認し、そして借りに行くという光景もある。もちろん普通に声を出して会話もしてはいるのだが、ポケットに必ず携帯が入っていないといられない。これが当たり前のこととなってきている今。対「人」のコミュニケーションが不足してしまっている現代人は、これからどんどん増えてしまうだろうと思う。すぐ感情のままに行動してしまうことも、現代人ならではの問題である。今日、様々な問題を抱えながら新しく時代を作り出している我々は、もっと人や物との接触を大切にするべきだ。
 そのための方法として第一に、伝統的な文化に触れることだ。例えば落語。噺家が使うのは、扇子と手拭と自らの体である。それを見ている客は、扇子を箸として見たり手に茶碗を持っているように見たりして、頭の中で映像として処理する。それを楽しむことが出来るのは、自分自身が今まで見てきた、してきた動作ばかりで話が構成されているからではないか、と私は考えている。しかし、それは携帯やパソコンを眺めているだけでは会得出来ない物である。笑うという感情、表情から気持ちを汲み取ることは、先に書いたような状況では見出せない。他にも、歌舞伎等も落語と同じように、自分で話を理解し、組み立てる物だ。陶芸のような、自分の手で何かを作り上げ、誰かに見せることで自分を高めることが出来るのも魅力的である。このように、昔ならではの物は人との触れ合いを大事にしている物が多いので、この時代の問題を解決する糸口を見つけることが出来るかもしれない。
 そして第二の方法は、教育の場で活字離れに対策を練ることだ。少々話がとんでしまうが、私が中学校の時、朝読書の時間があった。毎朝十分間、自分で持ってきた好きな本を読むというものだった。しかし、高校になりその時間はぐんと減ってしまった。しかも、活字離れが問題となっているという。それを聞いて、活字を見ることでコミュニケーション不足が解消するか、と最初は思った。しかし、そういった文面を読むことで言葉の勉強にもなるし、感受性豊かになれるので、対人関係に大きく影響を及ぼすことに気が付いたのだ。豊臣秀吉が草履を懐で温めていたのは、歴史上でとても有名な話だ。農民出身ということで、人と人との触れ合いがたくさんあっただろうし、感情の表現も上手かっただろうと思う。そんな人の温かさに囲まれて育った秀吉だからこそ、天下を統一することも出来たのではないか。「仏の顔は三度まで」(ことわざ)というが、実際に仏の顔を見ることは少ないのだから、そのかけがえのない時間を人と触れ合って、温かく過ごしたい。
 確かに、顔を見ないメールでの方が自分の気持ちをストレートに表現することが出来るという考え方もある。手先ばかりの感情表現ではなく、表情を使って喜怒哀楽を表した方が人間らしいはずである。文章は捉え方によっては逆の意味として受け取られてしまう可能性もあるし、ニュアンスが難しい。だが、真正面で目を見て話すと心の奥で考えていることも見える。本当は悩んでいる。本当は辛い。本当は…。真実の感情をしっかりと理解し合えるのが本来の人間同士の姿である訳で、上に書いた問題になることもないと思う。だからこそ、常識であったことが崩れかけてしまっている今だからこそ、今まで以上にコミュニケーションを大切にするべきである。

   講評   nane

 状況実例が具体的。人や物と接触しなくても生きていける社会だから、なおさらその接触を意識的に行う必要があるのだろうね。
 落語の映像の話は面白い。いろいろな経験を積むほど、噺家の動作の中にあるイメージを豊かにつかむことができるのかもしれない。いい着眼点。
 秀吉の草履はいい例。人情の機微がわかるのは、やはり自分がいろいろな経験を通して苦労したからだろうね。
 「仏の顔……」は、いい感じで引用している。いろいろな経験を積んでいる人は一度でわかるが、そうでない人は何度見ても相手の感情をつかむことができないというところかな。
 今回のテーマも、Jokerさんにぴったりの主題だったね。


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