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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本人   シュシュ

 今日本で放送されているCMの中で、外国人のモデルや俳優が使われているものが多くある。外国人が英語でしゃべり、わざわざ下に日本語の字幕が出ているものすらある。日本で流しているのだからもちろん日本人がターゲットだが、それでもこのように外国人をCMに使うのには、やはり欧米に対してかっこいいというイメージがあるという理由があるのだろう。しかし、このように西洋の価値観に縛られ、自分の民族性を忘れがちになる傾向は、現代の日本社会の問題である。
 考えられる第一の原因は、敗戦後の日本が、多くの西洋の文化をいっきにうけいれたという歴史的な背景にある。テレビではアメリカのドラマが多く流されたそうだが、これによって日本人に外国の豊かな生活があこがれとしてインプットされたのだと思う。日本の女の子なら誰でも一度は遊んだことがあるおもちゃに、リカちゃん人形がある。バービー人形と対照的で、純日本産のおもちゃのイメージがリカちゃんにはあるが、実はリカちゃんはフランス人のハーフである。人形を作った人が、あえて日本人にしなかったのは、西洋へのあこがれの気持ちが国民にあることを感じていたからだと私は思う。また、リカちゃんのお父さんの人形が、「パパ」という名称で日本の頑固親父のイメージとまったくかけ離れていることも、作った人の同じ思惑があるのだろう。小さな子供のうちから、このような人形で遊び無意識のうちに西洋の価値観を覚えさせられるのだから、まるで洗脳だが、このような例は探してみれば他にもたくさんありそうだ。だからこそ、今のような価値観の日本になったのだろう。
 第二の原因は、日本が他民族に対して排他的であるという社会的な背景にある。しかし欧米以外の民族に対して偏見を持つ日本人は、と同時に自分たちの日本人としての民族性に対しても自信を持てないはずだ。朝日新聞の記事で、日本で仕事をしているイラン人の俳優が、歩いているだけで何度も職務質問を受けると言ったものを読んだことがある。たしかに、日本で外国人を見ることは場所によっては珍しいし、特に中東系の見た目の人を見ることはまれだ。その上、日本の報道を見るかぎり、中東に対するイメージはテロやら怖いなどのマイナスなイメージを増幅させるようなものが多い。だからと言って、ふつうに生活している人を初めから疑いの目で見ることはおかしなことだ。オーストラリアに生息するコアラは、他の大陸に住む動物と違って、他の動物の刺激を受けずに進化をしたため、今のような適応力の弱くオーストラリア以外では死んでしまう動物になった。(自然科学実例)人間も、視野の狭い社会でずっと生活していたら、このように弱い存在になってしまうだろう。
 確かに、西洋の価値観をおいかけることによって、日本は先進国の仲間入りを実現した。しかし、現代のような自分たちの日本人としての民族性を忘れてしまうことは問題だ。村上春樹の「海辺のカフカ」の主人公のカフカ少年は、自分のルーツである母親を探すことで、大きく成長した。このように誰にとっても、自分のルーツを理解することは大切なことのはずだ。グローバル化した社会におけるこれからの日本人は、外国人になることではなく、日本人として世界で活躍することを目指すべきだ。

   講評   nane

 わかりやすい導入部分。そういえば、この間買った日本酒は、英字新聞で包装されているようなデザインだった(笑)
 リカちゃん人形もいい例。日本人形よりも、ハーフ的なものに憧れる文化的素地があったのだろうね。その状態は、今も続いていそう。この実例は、これだけでも値打ちがある。
 オーストラリアのコアラの話は、だいぶ年季が入ってきた(笑)。さらりと引用しているところが自然。日本人は、コアラのようなものかもしれない。
 「海辺のカフカ」も板についている。結びの自作名言もうまい。
 これは清書候補だね。


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