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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   歴史を変える発想   うっちー

 日本人が欧米の真似をして記憶力秀才が国を牽引していく時代が終わりつつある。欧米と共に日本が今直面している問題はどのようにして未開の土地を開拓するようにまだ誰も思いついた事の無いことを考え付き実行しようとする能力を持った人材を得るかだ。最近youtubeなどに投稿された動画にコメントをつけることの出来るニコニコ動画というサイトが注目を集めている。システムを考え出したのは27歳無職、就職予定なしの男性だ。楽天などのIT企業に暫く勤めて培ったスキルでサイトを運営し、そこからの広告収入で生活している。彼のような生き方は現代日本でさして大きな評価を受けているわけではなく、まだまだ趣味の世界の延長のような扱いだがだれも思いつかなかった事をビジネスにしてしまった功績は評価されるべきだ。どうしても世間は教師を含む大人の考えるスピードで与えられた課題を確実に解く生徒のみを優秀とみなしがちだ。今の基準だけでは計ることができず、また今評価されている能力よりももっと重要な能力を見落としがちである。私たちは記憶した事の再現や応用といった能力よりも誰もが思いつかないようなユニークな発想を評価するべきだ。
 そのための第一の方法は一斉のテストでは無く生徒と先生の一対一の話し合いで評価を決めていくことだ。これは断じて私の学業成績が振るわないからでもなく、筆記試験よりも面談が得意だからでもない。今年の私の担任の授業は週に一回しかなく、接する機会も少なかった。そのため先生は私が掃除の時間の時に友達をふざけあっているのを見るまで、私が物静かで真面目に授業を聞き、(勉強以外では)模範的な優等生であることを信じて疑わなかったそうだ。もし、担任ではなく授業以外での接点が殆ど無ければ、私は本来の姿とはまったく違った印象をその先生に与えていただろう。今の多対一のスタイルでは生徒それぞれの隠れた能力どころか性格すらも誤った判断をしてしまうかもしれないのだ。
 また、第二の方法は現状ばかりを見てその中で創意工夫を凝らすのではなく、現状を必要と思えば無視してでもアイデアを出そうとすることだ。日本がそれまでの欧米の物まねから自分達独自の発想を具体化した例に戦闘機の零戦がある。開発者達はどこか一箇所でも他国の戦闘機よりも優れた所を持たせようとしたが、軍の上層部からは飛行速度、航続距離、格闘能力の同居しがたい全てで世界最高水準を希望した。結果としてアメリカ側は零戦に勝つためにさらなる創意工夫をしたのだが、日本の技術者達は何かを犠牲にして能力を高めるのでなく、常識を無視した設計で犠牲を払わずして歴史に残る最優秀の戦闘機を作り上げた。
 確かに勉強の出来る今までどおりの秀才達が政治を動かしてきたし、今までの優秀というレッテルが間違っているわけでもない。だが、ただの記憶の塊になるよりはやせていても自らの発想のかけらになる方がよっぽど良い。誰も思いつかないことを考え付いても誰からも支持されないこともある。だが今までも世界を大きく変えてきたのは前例の無い、驚きに満ち溢れた発想だ。歴史がキリストを呼んだのではなく、それ以降イエスが歴史をキリスト以前とキリスト以後に分けてしまったのだ。今の基準ではまったく役立たずに見え、無駄に思えてもそれが歴史を変えることがあるかもしれないのだから独創的な発想を見つけたり思いついたら、儲け物だと思えるくらいになるべきなのだ。

   講評   nane

 第一段落だけで、充実した一つのミニ小論文になっているね。身近な実例と新鮮な時事的な話題と密度の濃い表現がうまい。
 「これは断じて私の学業成績が振るわないからでもなく……」は、ユーモア表現だね。一対一の接触の例として、自分の掃除の時間のふざけっこを書いたのは共感できる。硬いテーマで、このような軟らかい話を入れるのは大事。
 ゼロ戦の本が教室にもあるけど、明治時代に始めて文明開化を達成した国が、それからまもなく世界最高性能の戦闘機を作ったのだからたいしたものだね。読書の実例がいきているね。
 「ただの記憶の塊になるよりはやせていても……」はちょっと難しい加工だった(笑)。「イエスが、キリスト以前と以後を分けた」というのもいい表現。
 この文章も、どこかに発表するといいかもね。

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