対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人と読書   ぼんちゃん

 みなさんには、字が読めないことを意識しつつページをめくり、「ここには何が書いてあるのだろう」と思い、もどかしい興奮をおぼえたことがあるだろうか。わたしにはある。「ここに書いてある字が読めたらなあ」と、強く思った。そのときの記憶が鮮やかにあるのだ。謎に満ちた物語、通常の音階を持たぬ歌、それは本というものの持つ力ではないだろうか。つまり、本を読むということは、そこにあるものをこちらに運ぶような機械的な作業ではない。場合によっては、作者の意図をもこえて、我々の内に何かを作りあげていくことなのだと思う。手ごわい相手、理解できない書に行きあたると、文字の読めない幼児のように、その昔に帰ったようにもどかしく、「この本が読めたら」と足ずりしたくなる。だが、わたしにとっては、それこそが読書の楽しみなのだ。
 私は学校でそれなりの読書家として知られている。なのでよくクラスメイトに、よい本はないか、と聞かれる。私は図書室の本の中でよかったものを薦めるのだが、その本を見ると皆、引きつった笑顔になり
「ハハハ、ありがとう。」
と断る。なかには失礼な人もいて、自分から頼んでおいたのに
「えー、それはちょっとねぇ。」
などと、あからさまにイヤの顔になる。思わず、「じゃあ、頼むな!」と言いたくなるような顔だ。 
 聞くところによると、どうやら私の薦める本は、ページ数が多くて内容的にもつまらないものが多いらしい。しかし、私はわたしなりの楽しい本を薦めているのだ。つまらないものを薦めているのではない。
 本に対する感想は、人それぞれ、なのだと思う。
 年を重ねるごとに、内容が面白くなる本は誰にでもあると思う。内容が面白くなるというよりは、自分の理解度が増しっていっているから、本の内容が面白く感じられるようになる。私の場合、その本とは、『エルマーのぼうけん』だった。この本を私がはじめて手にしたのは、小学校1年生くらいのとき。その頃から私はかなりの本を読みあさっていたから、当然、家にあった『エルマーのぼうけん』の読み始めた。
 が、どうしても内容が面白いとは思えないのである。まず、語り手が一体誰なのかがわからない。そして、エルマーの知恵を使った子竜の救出作戦自体が理解できない。このような理由で、私は『エルマーのぼうけん』を読むことを諦めた。1年後、2年生になった私は再びこの厄介な本に挑戦した。しかし、不思議なことにすらすらと読めるのだ。語り手が主人公エルマーの息子だということもわかったし、エルマーの竜救出作戦の内容もわかった。今厄介な本と思っているものは、少したってから、再挑戦してみるといい。
 読書とは、人間にとって不可欠なものだと思う。人それぞれ本に対して抱いている思いは違うだろうけれど、本は私たちの生活をより一層豊かに、楽しくしてくれるに違いない。
 とくに本の中で読むべきだと思うのは先人たちの知恵がつまった「古典」。これは、私たちの長い時間をかけた読みに、耐えることができるものである。と、同時に今の情報があふれている時代の中で、私たちに本当の「知識」を授けてくれる大切なものだ。
 この長い読みに耐えることができる古典。それらは、私たちの読書の時間を楽しくしてくれるとともに、私たちの本に対しての理解度を高め、より一層、私たちの生活を豊かにしていってくれるに違いない。

   講評   kirara

 私も、ぼんちゃんにおすすめの本を教えてもらおうかしら。ぼんちゃんにとって、読書は目に見えない宝ですね。
 <<こうせい>>読書は楽しいものだということを伝えたい筆者の思いが伝わります。
 <<だいざい>>違う視点から書かれた実例が、作文の幅を広くしていますね。同じ本でも感じ方は人それぞれ、ということは確かにあります。前はつまらなかった本が数年後におもしろくなるというのは、本だけでなくいろいろなことでありますね。また、その時の気持ちによって心に響く本が変わる、ということもあるでしょう。
 <<ひょうげん>>クラスメートのひきつった笑顔、というあたりがいいユーモア表現になっていますね。さりげなく、しかもおもしろい。ぼんちゃんらしい表現です。
 <<しゅだい>>読書家のぼんちゃんが書くからこそ、「不可欠」という言葉に重みがあるような気がします。古典のすばらしさまで触れるあたりは、余裕を感じさせますね。

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