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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   色づいたカキは日本の   かつさ

 色づいたカキは日本の秋を彩る風物詩である。幾多の詩歌に詠まれてきた郷愁の果物と言え、日本人と長い歴史を供にしてきた。また、カキはビタミンCが豊富で、長年日本人の大事なビタミンCの供給源であった。近年は外来のみかんやりんごに押されるようになり生産量にはナシにも遅れをとっているが、今なお「庭先果樹」として、ただで食べられる日本最大の果物だ。それに、無用な時期に果実が動物に食われるのを防ぐ「渋」を持ったカキは、とても利口な果物と言えるだろう。(要約)
 ただ、正直に言って私はカキが嫌いだ。しかし、親に無理やり食べさせられた時の感想を言うとすると、食感は別に嫌いでは無い。味も甘くて果物らしいと思う。ただ、自分の好きな甘さとは少し違う。その甘さを言葉で表すならば、「素朴」なのだ。「王道」の甘さが私は好きなので、「素朴」過ぎるカキは中々好きになれない。みかんやりんごによって果物の欧米化をしてしまった日本人である私の舌にとっては、純和風のカキは受け入れがたいものだ、と言うことなのであろう。
 欧米化と言えば、私たち日本人の文化には果物のほかにも、色々と日常生活のなかにヨーロッパやアメリカの文化が流れ込んでいる。言語で言えば、英語は勿論学校で習うし、国語の授業にさえ外来語の分野がある。食べ物においては和食よりもよっぽど洋食のほうが食べる機会が多いであろう。家の中だって、椅子は外国から入ってきた文化だし、トイレも洋式の家がほとんどである。そう考えてみると、もしかしたら私が日本文化だと思っているものでさえ、その多くは外国から入ってきた文化なのではないだろうかと思えてくる。
 そもそも、なぜこんなに欧米の文化が入り乱れるようになったかと言うと、その原因は戦後の日本政府の方針にある。太平洋戦争に負けて欧米との技術の差を痛感させられた日本は、先を走るアメリカやヨーロッパの国々と肩を並べるために、彼らを真似をするという方法を取った。戦勝国と素早く手を結び、交流を盛んにさせ、さまざまな文化を吸収した。その結果として、今日のように外来文化が飛び交うようになったのである。
 「急がば回れ」これは日本のことわざだが、この教訓はカキの中にも隠れている。カキは、ちゃんとした実を鳥達に運んでもらうために、わざわざ実を苦くする。そして良い時期までくると、鳥達の好む甘い味にして実を遠くまで運んでもらう。確かに外国文化の良いところも沢山あるが、カキのように、日本文化にだって生活に役立つ教訓が沢山隠れている。ますます欧米化の進むこの世の中だが、時には後ろを振り返ってみて、日本文化の中から役立つ知識を見出すのも大切なことではないだろうか。

   講評   nane

 柿は、ある意味で日本の果物文化の中心に位置するものだから(笑)、今度は我慢して食べてみるといいよ。
 この長文のような説明文でも、現代社会を論じる小論文となる。コツは、このように、日本の文化の問題として大きくとらえること。
 日本が外来文化を受け入れたのは、日本人の柔軟性もあるけど、やはり敗戦で自信をなくしたことが大きい。だから、逆にこれから柿などの固有文化の見直しが進むかもしれないね。
 「急がば回れ」のことわざを、柿の生活史と日本文化にからませて引用したところはさすが。ことわざは単純に引用すると陳腐になる可能性がある(高校生の場合)。このようにひとひねり加工して引用していくのはいいやり方だね。


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