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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   昔の自分、今の自分、未来の自分   ともっち

 不思議な、あるひそかな不安を感じながら、私は少年時代に喜びを味わった、なじみの場所を見まわした。それは、昔とは違った顔をしていた。花たちさえもつきることのないその魅力をいくぶんか失っていた。私は散歩をして、山の上から町を見下ろしてみようと心に決めていた。以前ならば、決して思いつくことなどなかっただろう。少年は散歩などしない。少年は、森へ行くなら盗賊か騎士になって行く。川へ行くなら筏乗りか、漁師か、あるいは水車作りになって行く。草原へ走るのは、蝶の採集かトカゲ採りに行くのだ。こうして私の散歩は、自分が何をしたらよいかわからない大人の、上品だが少々退屈な行為のように思われた。汽車が輝く鉄路を走って来て、私のそばを通り過ぎた。それを見送った私は、一瞬非常にはっきりと、ここではもう私の本当のよろこびが花咲くことはないと感じた。そしてあの列車に乗って世の中へ出て行きたいと、心の底から思った。(要約)昔と価値観が変わったり、成長することで今まで出来たことが出来なくなってしまった。こういうことは大人になっていくにつれてどんどん増えてきたりする。成長した証とも言えるこのことは、良いことだといえるのだろうか。
 過去の自分がいるから今の自分がいる。そういった積み重ねを実感することは当たり前である。そういったことを賛成の意見の人は言うのではないだろうか。確かに今の自分は過去の自分があって初めて出来ている。私はこの言葉の森で作文をパソコンを使って書いているが、こうすることでタイピングの技術がものすごく上がったと思う。毎週毎週千文字程の作文を打ってきたら、さすがに上手にもなるだろう。だがそういった成長は、何かと比較しなければ実感することは出来ない。そういった意味では過去の自分というものは、比較するのに一番最適なのではないだろうか。
 しかし、失ったものはもう二度と戻ってこない。昔に感じたものをもう一度取り戻そうとしてもそれは出来ないことである。昔の子供時代がどれだけ良くても上の長文のように大人になってからもう一度体験しても感じることが出来なかったり、それ以前にすることさえ出来ない場合もある。そう思うと、無くしてまで得たものや成長したことは、本当に良かったのだろうか、そういうことも考えてしまうのではないだろうか。
 「脱皮できないヘビは滅びる」という言葉がある。その言葉のとおり、ヘビは脱皮して成長する生き物なので、脱皮しないことには成長も出来ず、やがて滅びてしまうということだ。しかし、脱皮した皮も、新しく皮を脱いだヘビも、どちらもヘビはヘビなのだ。これは過去の小さい頃の自分の感覚と今の自分とを置き換えることが出来ると思う。過去の自分が脱皮した皮で今の自分が本体のほうである。確かにどちらの意見も分かるが、昔の自分も今の自分も「自分」というものには変わりはないのだから結局、どちらも大切なのではないだろうか。なくなってしまった過去ばかりを見るのではなく、過去を認めた上で前を向くことが一番大切なことなのではないだろうか。まだ十六年しか生きていない私は、そうやって思い返すことも少ないけれど、いつか振り返って昔とは違うと感じた時、その過去だけにとらわれずに改めて前を、未来を向くことが出来る人間になりたい。

   講評   nara

 『陰日向……』劇団ひとり、ですな! 読み終わったら感想を聞かせてね。この作文は、今の、この時期だからこそ書ける内容だという点で、清書にふさわしいものだったね。20年後ぐらいに、取り出して読んでみたときに、どう思うだろう。そういう楽しみもこの作品にはあると思うよ。 

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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