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　　　ある書物が良い書物であるか　　　ムーン

ある書物が良い書物であるか、そうでないかを判断するために、普段私達がやっていることは誰でも類似している。自分が比較的得意な項目などについて、その書物がどう書いているかを、拾って読んでみればよい。よい書物であれば、大体良い記述がある箇所で、書物の全体を占ってもそれほど見当が外れることはない。だが、自分の知識にも、体験にも、全く関わりのない書物に行き当たったときは、どう判断すればよいのだろうか。それは、多分、書物に含まれている世界によって決められる。優れた書物には、どんな分野のものであっても小さな世界がある。その世界は書き手の持っている世界の縮尺のようなものである。もし一つの書物を読んで、読み手を引きずり、または休ませ、立ち止まって空想させ、また考え込ませ、要するにここは文字の一続きのように見えても、それは小さな世界だと考えてよいのではないか。だから私達は相手もまた自分達と同じなのだと思うべきである。
そのためには、相手の立場に対する想像力を持つことである。私は、この前小論文のテストを学校でやって、大学の受験生達の苦労がわかった。
また、もう一つの方法としては、自分達だけの狭い世界に安住しないことだ。日本の文学界で私小説という独特のジャンルが盛んなのは、近代以降の文学者の多くが、文学しかできないという人達によって占められていたからだと言われている。実生活でも逞しく生きる力のある人が文学を志さないと、文学自体も豊かにならないだろう。
確かに、ある分野を深く究めるということは大切だ。しかし、それが自己満足に陥る理由になってはならない。自分とはいつでも自分なのではなく、時には、他人の目に映った他人なのである。我が身をつねらなければ、やはり人の痛みは分かりにくい。《諺の加工》

　　　講評　　　yuta

◆要約は、工夫してまとめましたね。２００字を目安にすると、さらに短くできます。（下記☆要約の例参照）
　当為の意見は『私達は相手もまた自分達と同じなのだと思うべき』と示せました。
◆『そのためには、相手の立場に対する想像力を持つこと』。小論文のテストの例は個性的です。どうして受験生の苦労がわかったのか、もっとくわしく書きましょう。苦労がわかったことでプラスになったことがあったかな？
◆『もう一つの方法としては、自分達だけの狭い世界に安住しないこと』。内面だけで凝り固まっていると、進歩しないんだね。
◆『確かに、ある分野を深く究めるということは大切だ。しかし』　自作名言とことわざの加工にも、自分でチャレンジしてみましょう。　自作名言は「○○とはＡではなくＢである」という形にすると作りやすいです。　最後に書き出しの意見に戻って『だから、私達は相手もまた自分達と同じなのだと思うべきだ』としめくくりましょう。
　　　　　　　
☆要約の例：『良い書物であるかそうでないかは、自分が比較的得意な項目などについて、その書物がどう書いているかを、拾って読んでみればよい。だが、自分の知識にも、体験にも、全く関わりのない書物に行き当たったときは、書物に含まれている世界によって決められる。もし一つの書物を読んで、読み手を引きずり、または休ませ、立ち止まって空想させ、また考え込ませるものがあったら、たとえ文字の一続きのように見えても、それは小さな世界だと考えてよいのではないか。』　これで２１４字です。