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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   偉大な狂気   意気陽陽

 たしかブレーズ・パスカルだったと思いますが、大体次のようなことを申しました。
 ——病患は、キリスト教徒の自然の状態である、と。
 恐らく「狂気」とは、今述べたような自覚を持たない人間、あるいはこの自覚を忘れた人間の精神状態のことかもしれません。天才と狂人との差は紙一重だと、ロンブローゾは申しているわけですが、天才とは、「狂気」が持続しない狂人かもしれませんし、狂人とは「狂気」 が持続している天才かもしれませぬ。人間というものは「狂気」なしには居られぬものでもあるらしいのです。我々が正気だとうぬぼれている生活でも、よく考えてみれば、大小の「狂気」の起伏の連続であり、「狂気」なくしては、生活は展開しないこともあるということは、奇妙なことです。要は、我々は「天使になろうとして豚になりかねない」存在であることを悟り、「狂気」なくしては生活できぬ存在であることを悟るべきかもしれません。
 僕は「狂気」は人間にとって必要だと思う。その理由は二つある。第一の理由として、狂気があると人間が成長していくからだ。僕は六年生の時に「自転車少年記」という本を読んだ。その本は四百十五ページもあるとても分厚い読み応えのある本だった。僕は父が借りてきてくれたその本を初めは何となく読んでいたのだが、読んでいるうちに自分がその主人公になっているかのような気持ちになり、なんとひと晩で読み終えてしまった。読み終えて「眠いなぁー」と思い、時計を見てみるとなんと十二時過ぎだった。僕は当時、九時に寝るように親に言われていたのに気付いたらそんな時間だったのでとても驚いた。これも一種の狂気だと思う。十代男性・女性のストレス発散法というデータを見ると、一位はカラオケである。カラオケで熱唱している時なども狂気だと思う。その他にも、テストの苦手科目の前日や、宿題が大量に出たのに忘れていた時、ゲームをしている時などは時間のことなど全く頭に入ってこない。
 第二の理由として、狂気は偉大な発見、記録などにに大きくつながるからだ。例えば、三重県出身の偉人として江戸時代の本居宣長という人物がいる。この人は古事記について研究し、「古事記伝」を刊行したのだが、この本を作るのになんと三十五年も費やしたのだ。この人は七十一歳で亡くなったので、なんと人生の半分を費やしたということになる。想像しただけでも驚きである。これこそまさに狂気あってこそ出来たことだと思う。記録については、マラソンなどはまさに狂気だと思う。42、195キロを二時間ほどかけて走るのだが、その間は満足に呼吸もできずひたすら辛さを耐え抜き走るのだと思う。これもまさに狂気だと思う。こうして世の中を見渡してみると、偉大な発見や記録はほとんどが狂気によるものだと思う。
 確かに静かに冷静に暮らすのもよいかもしれない。しかし「鋭い刃物ほど安全である」という名言もあるように、狂気という鋭いものがあってこそ人類の文明ははってんをとげてきたのだから、狂気はこれからも大事にしていくべきだと思う。

   講評   sugi

 要約の最後をしめくくる「我々は『天使になろうとして豚になりかねない』存在であることを悟り、『狂気』なくしては生活できぬ存在であることを悟るべき」という言葉は重みがあるね。じっくりかみしめておきたい文だね。
 本にのめりこんで、就寝時間をとうに過ぎても気づかないというのは、ものすごい集中力。そんなふうに本の世界にどっぷり浸かっている状態は幸せなのだろうなあ。意気陽陽君の指摘どおり、何かに何かに熱中しているときというのは、一種の「狂気」と言えるし、それだけの集中力を出せる時こそ、自分がぐんと成長するときなのだね。
 第三段落に本居宣長の話を入れて、題材がバランスよくなったね。歴史実例を入れることで、さらに意見に説得力が生まれました。先生も似た話を知っているけれど、作曲家のブラームスも、交響曲第一番を納得できるものに仕上げるまで20年かかったと言われているよ。
 「鋭い刃物ほど安全である」の名言の使い方、光るものを感じました。これはうまい! 進級テストは合格です。よくがんばったね。


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