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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人間の歩む道   かつさ

 今、世間ではら抜き言葉は主流の文法となった。言いにくい「られる」に変わって、簡略化された「れる」を皆好んで使うようになったのである。正確に言えば、まだ教科書は「られる」を正しい日本語として記載しているから、これは文法的には間違いだ。しかし、世界中のどこを探しても変化しない言語など無い。それに、言語に限らなくても、ほとんどのものは時代を経て改良され、形を変えていく。そしてその変化のたびに、私たちは古いものを守るか、新しいものを選ぶか取捨選択してきた。この「られる」についても今同様のことが行われている最中なのである。果たして、伝統を守るのと、進化したものを取るのと、どちらが人間にとって得だと言えるのだろうか。今のところ、その答えは見つかっていない。
 では、仮に古いものを守ろうとしたとき、人間にとっての利点とは何か。それは、伝統を守ることは、人間の歴史を現実世界に留めておける、という点に他ならない。人間は高度な知識を持っているが故に、日々進歩をしてきた。それは周知の事実であろう。しかし、その進歩のために、人間は伝統を切り崩し、それを前進するための動力の糧としてきたのだ。いったん壊した伝統を人間は決して修復できないし、しようともしない。切り捨てられたものは、二度と現実世界に登場することは無いのである。日本の歌舞伎、寺社、礼儀作法などの文化が、「日本の誇り」として、現在において貴重な財産となっているのは、それらがこのような過酷な状況下で必死に守られてきたからなのだ。
 それならば、反対に古いものを捨てて新しいものを選ぶのは罪なのかといえば、それも嘘である。人間が生み出す新しいものとは、どれも以前より数段便利なものになっているに違いない。最新の電子レンジや洗濯機、自動車などに囲まれて生活する生活に皆があこがれるのは、便利になった分だけ「苦痛」が減るからだ。伝統は大事だと思っていても、人間にとって良いものが生まれるか分からないとしても、誰もが新しいものを望むのは、それだけハイリターンが見込めるからである。誰ももう洗濯板で洗濯などしたくは無いし、出来れば自家用車で移動をしたい。そういう人間の願望が、皆を前へ前へと突き動かすのだ。それは決して人間のおごりでもないし、罪でもないはずなのである。伝統は大事だから、と言ってまったく前に進まないのでは、折角人間が持っている知性も無用の長物となってしまう。
 つまるところ、人間にとっては、歩きつづけることも、とまって自分の道を眺めてみるのも大事なのである。実際、今まで歴史を紡いできた人々も、あるときは革新を目指して奮闘し、ある時は後ろを振り返って自らの文化を確認してきた。文化という川の流れに飲まれなければそれでいいのである。人間は水に流される流木なのではなくて、その流木を流す川の水であるべきだからだ。文化を変えるにしても、変えないにしても、その主体は自分達でなくてはならない。ら抜き言葉に見られる小さな変化だって同じ事だ。それを他人事のように眺めるのでは無く、その小さな文化の変化を、自らが感じ取ることが重要なのである。

   講評   nane

 第一段落の書き出しがうまい。このように、状況実例で書いていくといいね。力作
 第二段落は、説明が多いので、むしろ一回書いた説明を繰り返さずに、実例を引用していくといい。しかし、説明だけで書き続けていけるのは、考える力がある証拠。
 「人間は水に流される流木なのではなくて、その流木を流す川の水であるべきだからだ」は、名言でありつつ、比喩を使ったいい表現。しかも、言わんとしている内容がいい。
 「主体は自分たち」という考え方は、いろいろなところで応用できる。また、この考え方は、人間の生き方そのものと言ってもいいだろうね。
 説得力のあるいい文章。


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