対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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クラシック かおや
クラシックの曲を何曲知っているかと聞かれると、ほとんどの人は、答えに詰まってしまうだろう。私は幼い頃からバイオリンを習っているので、友達の前で披露することも多い。聴く人に分かりやすいようにと、有名な曲を弾くことが多いのだが、大概「どこかで聴いたことはあるけど、なんて曲だっけ?」と聞かれてしまう。最近は、テレビのCMや、お店などでもクラシックの曲を聴くことは多い。しかし、そのほとんどは断片的なもので、なんとなくしか聴かれていない。そのため、どこかで聞いたことはある気がするけれど、曲の名前まではわからないということが多発するのだろう。本来、クラシック音楽とは、このようになんとなく聴くものではなく、曲の構造や、作曲者の意図まで読み取りながら傾聴するものである。しかし、現代では、クラシックは短く切り取られ軽薄短小化されてしまっている。私たちは、現代の軽薄短小の文化に流されるべきではない。
そのための、第一の方法としては、物事の由来を知ることだ。物事の由来を知れば、そのものの、重大さがわかるものである。私は、哀愁漂う、モーツァルトのヴァイオリンソナタが好きで、よく聴いているのだが、初めてこの曲を耳にしたときは、特に良いとは思わなかった。しかし、この曲が、モーツァルトが母を失った悲しみを曲にしたものだと知ってからは、急にこの曲がとても素晴らしいものに聞こえてきた。このように、物事の由来を知ることは、そのことを深く理解することに繋がるのだ。
第二の方法としては、社会全体で大きな目標を持つことだ。現代の人々が軽薄短小なものを好むのは、社会が目標を見失っているからだろう。クラシックは、始まりと終わりがはっきりしているが、軽薄短小なものは始まりも終わりもはっきりとしていない。目標の無い私たちの社会も、終わりがはっきりしていないから、軽薄短小な文化と相性が良いのだ。この軽薄短小な文化は現代のニート問題とも繋がりがある。目標が無いから定職に就くこともなく、バイトをしてもすぐにやめてしまう、まさに軽薄短小な状態なのである。社会が大きな目標を持つようになれば、終わりも始まりもメッセージも無いような、軽薄短小な文化は、消え失せるだろう。
確かに、軽薄短小な文化が産まれたのは、社会が安定しているおかげだろう。しかし、軽薄短小な文化は安定した社会によって得られた利益ではなく、安定した社会による副作用である。安定した社会は私たちの生活を豊かにしてくれたが、引き換えに失ったものも多いのではないだろうか。現代の人々は、物質的な満足感にだけ囚われ、心の豊かさというものを失ってしまった。かつて、物質的には貧しくとも、心は豊かであった時代の人々の産物であるクラシックは、私たちの失われた心の豊かさを取り戻してくれるはずだ。
講評 nane
第一段落は、じっくり書いたね。ふだん、クラッシックの意義など考えないから、書きにくかったでしょう。
由来を知るという方法は、なるほど。人間が感動するのは人間に対してだから、その芸術作品の背後にその人の人生を感じるときに、感動が新たになる。
軽薄短小は、日本文化の特徴と言ってもいいものになりつつある。昔は、戦艦大和のような重厚長大の文化があった。軽くなることは、時代のニーズでもあるけど、重くて大きいもののよさも見直す必要がある。
結びもうまくまとめた。密度の濃い内容。「安定した社会によって得られた利益ではなく、安定した社会による副作用である」はいい線行っているが、ちょっと難しいかなあ。
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