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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人と文化   ニンジンスキー

 明治維新とともに日本国内には、旧来のしきたりや風俗に替わって、見慣れぬ外国の制度や習慣が急速に拡がった。この急激な西洋化について特筆すべきことがある。それは、日本が様々な点で西洋の文化を取り入れたのに、日本は結局併存文化の国になったことである。第二次世界大戦までの日本人の生活は、社会的公的な場面では、西洋式を努めて取り入れ、家庭に戻るとすべてが日本式になった。この生活様式は、社会制度上の緩衝装置として機能したと思われる。私は上っ面だけ新しい文化を取り入れるより、新しい文化を吟味してから取り入れたほうがよいと思う。
 その理由は第一に、「自分らしさ」や「誇り」がなくなってしまうからだ。私の学年は、世界地理の授業で「モンゴルの遊牧民」というテーマでビデオを見た。その主人公は遊牧民の女の子だ。普段、学校で勉強するために町に住んでいるが、夏休みの間、遊牧生活をする。彼女は何ヶ月も遊牧生活をしていないはずなのに、ヤギの大群を馬に乗って草原へ連れ出し、ゲルで寝泊りしているところを見れば、完全に「遊牧民の女の子」だった。彼女とその姉妹たちは町にひそかに憧れているが、彼女らの母親の言った言葉
「私は今の暮らしもいいと思うわ」
や、遊牧民としてひたすらに働く彼女からは、「誇り」の二文字が心の底にあるような気がする。モンゴルの数少ない遊牧民の一人。それは、モンゴルの古を築いてきた者としての誇りがあって当然である。その生活の中で、新しい「自分らしさ」を作り上げていくのだろう。日本人も同じだ。まるで外の世界から切り取られたような完全な島国で作り上げた文化。それは、他の誰にも邪魔することは許されない、日本人の心の聖域である。
 その理由は第二に、上っ面(カタカナ語など)だけ取り入れて、内面は完全に何も変わっていないということがあるからだ。私の学校の数学科には、「カルクロ」というものがあり、たまにそのテストがある。最初に配られたときは、
「何!?この名前!!」
と思っていたが、先生に聞くと、
「スペイン語で『計算』って意味なの」
とのこと。普通に「計算練習」という名前にすればいいのに…とつくづく思う。やけに西洋被りという感じがして、なんだか私の心が許さない。もっと「スペイン式の計算練習を取り入れました!!(笑)」などだったら良いけれど、普通の、どこにでもある、ありふれた計算練習である。わが学校の西洋被りはあきれたものである。
 確かに、固有の文化を守ることは大切だ。さっき話した遊牧民のように、数が減っていくものもある。だが、「家の批評ができるのは、建築家ではなくそこに住む人である。」という名言もあるように、新しい文化が性に合わないのなら、それを批評して、取り入れなければよいだけである。こうして、「日本」という文化のバランスの取れた国は成り立っている。だから私は、新しい文化を吟味するのが良いと思う。

   講評   hira

 <「自分らしさ」や「誇り」がなくなってしまうからだ>モンゴルのお母さんの一言はぴったりの実例でしたね。お姉さん達の町への憧れと対比して書いたのがわかりやすい。先生の住む金沢でも、高校生は進路選択で「東京」と「金沢」の文化の違いに揺れています。「らしさ」は国でも町でも個人でも重要なアイテムですね。より「らしさ」を極めるための「吟味」が必要なのでしょう。
■第一段落 ○要約 ● 是非の主題
 「私は上っ面だけ新しい文化を取り入れるより、新しい文化を吟味してから取り入れたほうがよいと思う。」自分にしっくりくる言葉を使ってまとめることができています。
■第二段落 ● 複数の理由一 ● 体験実例
  学校で見たことを活用できている。生きた知識にできているね。
■第三段落 ● 複数の理由二 ● ユーモア表現
これは長文に出ていた実例、ニンジンスキーさんの学校版のような話でした。なんでしょうね。一瞬気を引くし、かっこいいのかな〜(笑)。確かに「スペイン式の計算練習を取り入れました!!(笑)」ならわかるね(笑)。上手い。
■第四段落 ● 反対意見への理解 ● 名言の引用 ● 是非の主題
それぞれの項目の使い方が自分流にこなれてきている。力のある主題が書けました。
  

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