対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

昨日2259 今日814 合計5686
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   森の中の日本人と現代人   ビーバー

 日本の文化と言われて、私たちは何を思い浮かべるだろうか。きっとほとんどの人が同じようなものばかり挙げるだろう。京都の人でない限り、西陣織が最初のほうに出てくるとは到底思えない。今の日本の文化をあまりよく知らない私たちは、西洋化の波に乗せられていて、森の中で狩猟をしていた頃の日本人の心を忘れかけているようである。今の日本の言葉や生活を客観的に眺めてみると、いかに西洋の文化に影響されたかがよく分かる。しかし、それも所詮は上辺のものでしかないのだ。西洋の文化を取り込むだけ取り込んだが取り込みきれず、内側では日本人の伝統的な生活が営まれている。でも、今の日本人には本来の日本人らしさがなくなってきているのではないか。私は、西洋の文化に押されて日本人らしさを失っているのは問題だと思う。
 そうなってしまった第一の原因は、東洋より西洋の方が上だという間違った思い込みがずっとあったことである。日本人は明治維新の頃からずっと、西洋の存在位置を確認しながら近代化を進めてきた。そして、極端なところまで西洋化するようになってきた。今も影響があるものとしては、衣服・食生活・スポーツ、そして特に言語である。学校の授業で明治・大正の人が書いた文章を読むことが時々ある。その中でカタカナ語として使われるものも語源が英語だけでなく、フランス語やらドイツ語なども加わっており、何が何だかわけが分からない。日本人なら西洋の複雑な言葉ではなくて、昔から親しみなれた日本語を使おうではないか。何も西洋が一番優位なわけではないし、むしろ日本語のほうが表現しやすいこともあるのだから。
 その第二の原因は、日本が自分の国の文化を振り返らなかったことである。言葉のかっこよさや聞いた印象で日本語をどんどん消していっている風潮がある気がする。外国の文化というのは確かに興味深く、今になっては西洋の国々が日本の文化に興味を持つことが多い。しかし、それが自国の文化より優れていると勘違いして、自国の文化を潰してまで外国の文化を取り入れるのは、少し違う気がする。日本人の古くからの知恵の一つとして「家を造る時は夏を旨とせよ」ということが兼好法師の徒然草に書かれているが、これも最近はあまり知られていないようである。だから私の部屋は夏になると夜も30℃を下回らないのである(笑)。日本の文化も捨てたものではない、むしろ今の生活に程よく生かせるものである。
 確かに、西洋の文化を取り入れなければ今までの文明の進歩は日本にはもたらされなかったであろう。しかし取り入れすぎは、かえって日本人の本質を考えると害になっている。「西洋の文化は万能な先進文明ではなく、一地域の一文明に過ぎない。」今の日本人が森に住む日本人の心を失っているのは、森の中で狩猟していた者の心とあわない西洋文化を取り込みすぎたせいなのだ。西洋の文化だって、所詮は日本の文化と同じ、ある地域の文化でしかない。それを自分らよりも優れているからといって取り込むと、国民の心にひずみができてしまうのである。この問題は、今までの日本文化を振り返り、その重要さを国民に伝えることで解決できるはずである。日本の文化は決して劣ってはいないのだ。

   講評   nane

 書き出しから、ビーバー君らしさが出ているね。
 戦後は特に、日本的なものを根本から否定してきた弊害があちこちに出てきている感じがする。それだけ、日本人は発想の切り替えが早かったと言えるけど。
 西洋優位は確かにカタカナ言葉に出ている。バリアフリーとかシルバーシートとか、当事者にはわからないような横文字が使われすぎだからね。
 兼好法師のさりげない引用が面白い。クールビズなどもそう。日本の生活は暑さに対応することを中心に考えていく必要がある。
 結びに「森」というキーワードを入れてうまくまとめた。
 日本VS西洋と考えてもいいが、もう少し狭めて、森の発想VS遊牧民の発想と考えてもいい。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)