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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人と信念   ニンジンスキー

 三年の夏休みを前にした暑い午後、宗介はコーチの浅野に退部を申し出た。宗介の学業成績は、もう少し頑張れば進学校といわれる都立高校に手が届く程度のものだった。自分が抜けても、実力にほとんど差のない二年生の補欠を補充すれば、チーム全体の力は落ちない。しかし、事態は彼の予想しなかった方向に広がってしまった。宗介が辞めたのを知った三年生のレギュラーたちが翌日から次々に受験勉強を理由に退部を申し出るようになってしまった。私は自分の信念を貫き通すのが良いと思う。
 その理由は第一に、信念を貫けば、後悔しないと思うからだ。私は、派手なものは好きではない。服などはもっぱら無地のパステルカラーで、レースがついているもの、隅に刺繍が施されているもの、等は平気、という超シンプルな服を好む。ズボンも短パンなどは絶対受け付けず、年がら年中ジーパンである。ジーパンも、色が薄い、傷がつけてある、等は自分が着るものではないと位置づけている。なのに、一度、母がとんでもない服を買ってきたことがある。それはワンピースで、海外のメーカー「ZARA」のものである。もともと上品なものも売っているのだが、そのワンピースは、白地に赤と青で斬新にも太く、大きく、花(茎と葉がついているやつである)が描かれていて、とくにそれが上手い絵でもなんでもないのだ。いわば、走り書きみたいなのだ。音楽を聴きに行くときなどに、着ていけと言われると、早く背が伸びないかなあと心の中で強く願い、着せられても、カーディガンを上にはおって隠す。とにかく嫌いで嫌いで、クローゼットを見るたびぞっとする。ワンピースもかわいそうなものである。欲しくもないのに買われて(母はほしかったが。)着ようとも思われないなんて。今頃クローゼットの中で押しつぶされていることだろう…。私が一緒に買いに行けばそんなことにならなかったのにと思う。元々の原因は、私のポリシーなのだが。
 その理由は第二に、人に合わせてしまって後悔したことがあるからだ。小学校の頃は、特に委員会に特別な思い入れをするわけでもなく、雰囲気や、友達の感想、つまり口コミで決めていた。私は、6年生のときに、「ボランティア委員」というのになっていて、理由は親友の口コミだった。特に大変なわけでもないらしいし、ベルマークの集計などの地道な仕事が多いそうなので入ってみた。国際協力に興味を抱いていたのも関係しているが。実際に入ってみると、6年生なので全体をまとめるための会議なども昼休みにあるし、担任の先生がボランティア委員会の顧問なので、こまごまとした雑務もこなさなければならなかった。結構きつくて、帰ろうとしている親友に何度、
「待って」
と言ったことだろう。委員会のクラスメートの中に自分の中では完璧に悪いやつ、意地っ張りで強がりでかっこづけで私にいろいろとちょっかいを出してくる、世界で一番悪いやっちゃ、とまで思っていた男子がいて、それもいやだった。言っていることやっていることすべてがむかついた。そんなこともあって、ボランティア委員の一年間が終わり、卒業したときは、12年分の厄介を1年間で経験していたように思えた(笑)。
 確かに、人に合わせることも大切だ。会議などで全体を敵に回して反対し続けたら、会議が永遠に終わらない。思いやりを大事にする一方で、信念を貫き通せばよい。「自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと、ついには自分が生きたとおりに考えるようになってしまう。」という名言があるように、自分の信念を貫き通して人生を歩むのが良いと思う。

   講評   hira

 今回はなかなか興味深い長文でしたね。宗助とは逆の選択をする人もいるでしょう。実際、他の部員達は迷いつつも言い出せなかったのだから。自分と友人などの社会の間を試行錯誤しながら、生きているのが中学生なのかもしれません。ニンジンスキーさんらしい結論が導き出せたのではないかな。
■第一段落 ● 是非の主題
 「私は自分の信念を貫き通すのが良いと思う。」長文の意図を汲んで自分の主題が書けました。
■第二段落 ● 複数の理由一 ● 体験実例
 「信念を貫けば後悔しないからだ」たぶん、お母さんの買ってくれたZARAのワンピースはニンジンスキーさんにとってもよく似合う物なのでしょう(笑)。でも、自分が好きだとか価値観に合うだとかは別問題ですね。自分の信念としては受け入れがたいけれど、お母さんの気持ちを汲むと何とも言えないのでしょうね。「早く背が伸びないかなあ」にはその複雑さが現れていますね(笑)。
■第三段落 ● 複数の理由二 ● ユーモア表現
 「人に合わせてしまって後悔したことがあるからだ」・・・12年分の厄介を1年でとは苦労が忍ばれます(笑)。よくその状況を表現できています。しかし、こういう決定は結構あるものですよね。これは今となってはどうしたらよかったのかな。まとめの意味も込めて、一言添えておくといい。
■第四段落 ● 反対意見への理解 ● 名言の引用 ● 是非の主題
 「思いやりを大事にする一方で、信念を貫き通せばよい。」この辺のバランス感覚はいいなと思いました。自分の意見をよく書き込めています。

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