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　　　はじめはラッキーあとあとオドオド　　　本因坊

　どうしよう。忘れ物があったら嫌だなあ。大丈夫かなあ。
　この日、母は学校の個人面談のため、家にはいない。母がいない間、いつもは聞く「勉強しなさい。算数をやりなさい。」という言葉が聞こえてこないのをいいことに、ずっと遊んでいた。少しは勉強もしたが、その日の塾のテストで八割取れる勉強と、宿題しかやらなかった。最低限のことをして、後はずっと遊んでいた。母がいないときは、のびのびとしていられる。珍しい、学校終了後の家での自由時間だ。昼寝もしたいのだが、昼寝をしていて、予定のバスに乗り遅れたら困る。その上、弟が遊んで欲しいと強請るのである。この可愛さに僕はなかなか反対できない。僕の弟は、可愛さにかなり助けられている。例えば、父が僕の家のすぐ近くの駅、洋光台から電話をした際に、お菓子を買って、と甘ったれた声で強請る。すると、父はすぐに買ってきてしまう。よくあんなことが出来るな。僕はそう思う。
　話を戻すが、僕は勿論弟と遊ぶ。一時間ほど遊んだ頃、バスの時間が来る。この時に、急に不安になる。母がいれば何時も自動車で塾まで送ってくれるのだが、いないとなると、バスしかない。一気に心配になる。渋滞はしていないかなあ。バスが行ってしまったばかりかなあ。どんどん悪い方悪い方に考えてしまう。それで、荷物が一つ足りないことが分かる。探すが見つからない。冷静になっていたならば見つけられたかも知れないが。しかし、この時は冷静さを失い、飛び回って探す。弟に頼んでも、自分には関係ないという顔で、ずっと本を読んでいる。ことは悪い方に進んでゆく。やっと見つけ、飛び出して行って、タッチの差で乗り遅れる。そして遅刻する。こんなとき、母がいることがどれだけ良いことなのかがよく分かる。何故なら、バスの時間に関係なく自家用車は走れる。その上、母が忘れ物を指摘してくれる。毎日一緒に過ごしていると分からないが、こうして母がいないと、家族の有難味、また、親の有難味ということがよく分かる。
　先日、おたくの天国秋葉原で加藤容疑者の連続殺人事件が起きたが、加藤容疑者の弟によると、その母は、怒ると、新聞紙を下に敷いてそこにご飯をぶちまけて食べさせたという。子供の食事をペットの餌とでも勘違いしているのではなかろうか。このような母親がいると、子供は逃げ場を失ってしまう。僕は母がいないことで、親の有難味ということが分かった。そして、家族は人間にとって、安らげる場所、また、味方になってくれるものだ。これを親が勝手に崩してしまっては行けないのではなかろうか。
　幼児虐待。一時期このような言葉をよく聞いた。こういう言葉はなくさなければならない。つまり、子供の安らげる場所を親がしっかりと作ってあげなければならない。家族の有難味、親の有難味ということを子供に教え、子供が孫にとって安らげる場所に、また、孫が曾孫にとっての安らげる場所になるには、このような酷い行動をしないことが、忘れられないことなのである。

　　　講評　　　nane

　これは、新聞社に応募してみるといいよ。
　ただし、秋葉原の事件や幼児虐待の事件など、暗い話が入ると、文章の印象が弱くなることが多い。できれば、家族の大切さということで、前向きの例を中心に編集していくといいよ。（もちろん、暗い話を書いていけないというわけではない）
　最後の読解問題は、さすがに１００点！　すごいね。
　これからしばらく受験生活だけど、勉強して頭がよくなるというのは、楽しいものでしょう。
　いろいろなことをたっぷり身につけていこう。