対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   花火と金魚   キングドラゴン

「もうそろそろ行こうかね。」
ぼくらは、祖父母の住む町内の花火大会に出掛けた。一緒に行ったメンバーは、祖父母と母と僕。それから、もうすぐ一歳になる従弟のちびっこリンタにリンタのお母さんだ。
「バン、バン、ババババババーン。」
川に仕掛けられた花火が打ち上げられた。
「プヒュー。シュルシュルシュルーー。バーーーン。」
大きな花火大会と違ってスケールは小さくて見物客もそれなりに少ないので、そのおかげで特等席を確保することが容易に出来るのである。僕は敷物の上で寝転びながら花火を見ていると、ちびっこリンタがいつものごとく襲ってきた。まるでカワイイ顔をした悪魔のように、鼻の中に指を突っ込んできたり、かみついたり。ちょっと迷惑だがカワイイので許すことにしている。それに、これくらいの事で怒っていれば男がすたるというものだ。
 リンタにおもちゃ代わりにされながら、僕の心は夜店にあった。
「なんか買いに行こうか?。」
母が僕に向かって言った。僕は待っていた。その言葉を一番待っていた。花火もいいが、やっぱり祭りの夜店の方が楽しみだ。まさに、「花より団子」である。
僕は、チョコバナナのクレープを食べながら、目的のものを探した。金魚すくいをやると決めていたからだ。金魚すくいには、たくさんの人が挑戦していた。人だかりが少なくなって僕も参戦した。ポイを破らないように金魚をすくった。一匹、二匹、三匹目をすくったところでゲームオーバー。小さな金魚たちだったけれど、それを手に持ち僕はとても満足だった。
「チャカチャカチャーン。」
袋に入れられた金魚をながめていると、携帯電話が鳴っていた。
「ピッ。」
「みんな待ってるよ。早く車のところまで早く来て。」
金魚すくいに夢中になっていた間に花火大会は終わってしまっていたらしい。しかも、みんな車のところへ戻ってしまっていたのだ。僕は慌てた。金魚を持って薄暗い道を急ぎ歩きしていた。そんな時、また携帯が鳴った。慌てて携帯を取ろうとした。
「ドスン、バシャーン。」
その瞬間、何が起こったのか訳が分からなかった。
「痛ッ、イテ〜〜〜。」
僕は、金魚の入っていた袋を捜した。ピコッ、ピコッと小さな金魚が苦しそうにはねていた。手に残されたひもがとてもむなしかった。右足のすねをすりむき左手の親指からは血が流れていた。僕は、上り坂から下に落ちたことに気付いた。向こうの方で誰かの声が聞こえた。
「あっ今、人が消えたよ。」
恥ずかしい気持ちをこらえ上へはい上がった。現れた僕を見て何やら言って笑っていたが、僕は笑えなかった。金魚を悲しい目にあわせた僕は涙がでそうになった。そんな時にまた、あのいまわしい携帯電話が鳴った。
「はよーこんかー。みんな待っとるぞー。」
祖父の非情な言葉がうらめしかった。携帯電話はどこにいても連絡を取りあうことができて便利だけれど、どこにいても連絡がとれることが時として迷惑なものになってしまうことがある。涙と痛みをこらえ、みんなのところへ僕は戻った。ケガをしている僕を祖母だけが心配してくれた。祖父と母は
「ぼけ〜〜っと歩いてるから落ちるのよっ。」
僕は、だまってこみ上げる怒りをおさえこんだ。
そして、ピコッ、ピコッとはねていた金魚たちのことを思い出しザンゲするのであった。



   講評   naruko

携帯電話についても、うまくまとめましたね。読解問題もがんばりました。
 4日9.1週は、進級試験になります。「私の長所短所」「一番になったこと」のいずれかのテーマで、いい話を見つけておいてくださいね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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