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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   おとぎ話が現実へ   いろは

 誰もがよく知るおとぎ話の『桃太郎』は、「ある日おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。」という語り出しから始まっている。年寄りが行けるような身近な所に、薪採りのできる林があり、また家にすぐそばには洗濯のできるきれいな小川が流れているといった、この素朴な集落の光景は、日本人にとっての一つの風景画といってもよい。そしてこのような森林という里山は、未だに消滅せず残っている。
 この前、夏に兄が田舎で三週間程一人暮らしをした。私も、そこへ遊びに行った。そこは、『自然』まさにそのものだった。簡単に口に出来ないけれど、そこは確かに、昔のままの里山だった。都会とは違うせみの鳴き声。すぅっとまっすぐ入ってくる空気。何にも邪魔されない太陽の光。みずみずしい畑の野菜。庭でぴょこぴょことはねる蛙。そんな事が当たり前で、都会の空気なんて全く知らない。そんな世界は、いつ消えたのだろう。いつ変わってしまったのだろう。私は、
「自然って、こんなにも大きくて、大切な存在なんだ。」
と実感した。言葉に出来なくて、あまりにも近すぎて、かけがえのない存在。それを、人間はまるでゴミのように捨ててしまった。私は、同じ人間であるにもかかわらず、人間が許せなかった。
 この前、学校で地球温暖化について調べた。このごろニュースなどで、
「地球温暖化対策をしましょう。」
という声かけを耳にする。だが、調べてみたところ、疑問点が浮かんできた。地球温暖化のこの状態を創り出したのは人間だというのに、いざ、自分たちに危機が迫ってきたら、全てを自然のせいにして、自分はまるで部外者の様に振る舞う。そんな人間がほとんどではないか。始めは良かった。自然と人間が手をつなぎ、共に成長し合っていた。けれど、その手を人間が離し、機械という別の手とつないでしまった。だから、今世界が少しずつ滅びている。生き物は絶滅し、この世界は後百年で熱世界に変わってしまうかもしれない。冗談なんかじゃなくて、現実だ。裏切った人間を自然は許してくれない。いつか、仕返しがくる。いや、もう仕返しは始まっている。それを止めるためには、どうすればいいのか。今からでも、私たちにできることは何なのか。それは、昔の人の心を思い出すこと。自然を愛すること。自然を守ろうとすること。そして、何よりも、自然と手をつなぐこと。世界中の全員がそれを実行すれば、いつかはおとぎ話に出てくるような里山だって生まれるかもしれない。
 人間にとって自然とは、共にいなくてはならない存在である。その自然を、覆水盆に返らず。一度失ってしまい、取り返しのつかないことにならないように。そして、いつか自然との共生が現実になるように。おとぎ話の世界がきっと訪れるように。私は願っている。

   講評   sumomo

 里山という場所にはなにか特別な空気が流れているような気がします。自然をそのまま放置した場所ではなく、人間と自然が共に生きていくために大切にしている場所ですね。普段の生活の場所の隣にそんな安心できる場を置いておくというのは人間の知恵なのかもしれません。
 夏にお兄さんがすごしている田舎に出かけたときの体験が清冽ですね。「すぅっとまっすぐ入ってくる空気」を私も感じてみたいと思います。すてきな表現ができました。その空気を感じることができるようです。
 「自然と人間が手をつなぎ、共に成長し合っていた。けれど、その手を人間が離し、機械という別の手とつないでしまった。」と書かれているとおりの道を私たちは歩んできました。自戒をこめて自分たちのことをふりかえっている書き方が印象的です。ことわざの引用もうまくできました。これから私たちの手をどこに伸ばせばいいのか、考えていきたいですね。

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