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　　　あったか手紙のつくりかた　　　ことのは

　わたしには、年賀状はすべて手書きというモットーがある。その年の干支をクーピーペンシルで描くのだ。今年の干支はねずみだったが、来年は牛なので、牛を中心に年賀状づくりを進めている。牛のイラストを描いて余白に
「あけましておめでとう」
とカラフルに書く。このように毎年手書きのため、パソコンの絵を使ったことは一度もない。
　しかし、わたしと反対に友達からもらった年賀状の多くはすべてパソコンで作られていて味気ない。こういうはがきをたくさんもらうと、がんばって絵を描いている自分がむなしくなってくる。わたしにとって、年賀状作りは一年に一度のイベントであり、ちょっとしたしゅみでもあるのだ。あて名を心をこめてしっかりと書き、
「この人にはどんな絵が合うかな？」
と頭をフル回転させてイラストを描いていく。あざやかなイラストとメッセージがつめこまれた年賀状ができあがると、あたたかなものが、むねに押し寄せてくるのだ。そんあわたしとはみんな、月とスッポンである。
　冬休み明けに年賀状を送った友達から、
「あのイラスト、かわいかったよ」
とか、
「面白い絵だね」
と言われると、やっていてよかったなと笑みが浮かぶ。年賀状に、市販のスクラッチシールやおみくじシールをはる人がいてそれも楽しいが、わたしは使っていない。わたしの年賀状には、もうすでに作られているものはほとんど登場しないのだ。すべてハンドメイド。わたしと同じ年賀状は手書き、という数少ない子の中には、
「賀正」
という文字がほられたはんこまで自分で作っている子もいる。手作りの年賀状は心があたたまり、新年からうれしい気持ちにさせてくれる。
　仕事で忙しい大人の年賀状は、ほとんど印刷だ。知り合いの数も多く、すべて手書きとなったら、毎日てつ夜をしないと無理かもしれない。しかし、そうした印刷はがきにも、ちょっとしたメッセージが一言あれば、たちまちいきいきと輝きだすのだ。母によると、メッセージのない印刷されただけの年賀状はさびしく、味気ないという。逆に、メッセージのある年賀状だと、うれしいそうだ。
「お元気ですか」
「毎日楽しいです」
「あなたもがんばれ！」
と一言でも、書かれていれば読む人の心が充電されるのではないか。ちょっとしたイラストでも、手書きであればほほえましく、はがきをいろどるものとなる。
　人間にとって年賀状とは、外見よりも心がこもっていればうれしいということが分かった。パソコンで作られた年賀状は確かに、正確であざやかだ。しかしそれ以外何でもない。ちょっとぐらい下手な字でも、おかしなイラストでも、心がこもっていればとてもうれしい。カラーペンを持っていないわたしは、代用を六十四色のクーピーペンシルにまかせてまず、イラストの大きさを考える。もちろんメッセージを書きこむための余白も計算しておく。失敗したら一巻の終わり、という下書きなしのイラストを、ていねいにゆっくりと描く。色の配色も考えながらきれいにぬる。すると、見た目はパソコン作品にはおとるが、手作りならではのあたたかさがある年賀状になるのだ。今年はいつもより増えて、十二枚も年賀状をださなければいけない。一枚ずつちがうイラストのアイディアを考えるのは大変だ。だが、あたたかい手書き年賀状を限界まで作り続けたい。

　　　講評　　　kaki

毎回レベルの高い作文で、光美ちゃんの文才にはただただ驚くばかりです。今年の作文も楽しみにしています。