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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   節分   例のあの人

「あー、寒っっ」
豆まきを終え、家の中に入った。今年の節分はいつもとは違う。いつもは父がいて、父は節分のような昔からの行事などにうるさい人なので、恵方巻きを食べるときはきちんとした方角を向き、食べ終わるまでずっとしゃべらない、という慣わしを守ってきたが、父以外の母、兄、そして私は内心、めんどうくさいな、わざわざそんなことしなくてもいいじゃないか、と思っていたのである。でも今年は父が出張でいない。父がいない節分はめちゃめちゃなものだった。
まず恵方巻きを食べるときには、向く方角も分からずいいかげんな方向を向き、しかもその方向に向いて食べるのは一口だけ。そして一口食べた後にはテレビを見て笑っていた。その番組がまたおもしろくて母などは涙が出るまで笑っていた。毎年だったら父がその年の方角をなぜか知っていて、コンパスまで出してきて調べ、その方向を向いて食べるところだ。こんな今年の節分の状況を見たら父はなんて思うだろう。次の豆まきのときはちょうど番組がやっている最中で、しかも母が
「お豆がもったいないから少ない量でね。」
といったので私も兄も五粒くらいの豆をベランダから投げた。なぜかいつものよるより節分の日の夜はとても寒く、私は何でこんな特別寒い日に豆を投げなければいけないんだろうと思った。これでは投げられた豆も寒い思いをして、食べられるどころか次の朝には通勤、通学する人に踏まれさんざんな目にあるはずだ。そう思ったとき、私は豆がかわいそうだなと思った。このように今年の節分はめちゃめちゃだったが、それはそれで楽しい節分だった。
わたしは節分の日の思い出、いや印象に残っていることがある。それは小学一年生のとき、今日は節分だということで豆まきをしたときのことだ。豆は落ちてしまうと食べれないからと、ピーナッツで豆まきならぬピーナッツまきをした。今考えてみると、教室内でピーナッツまきをしたし、鬼もいなかったので、ただピーナッツを投げ合うという無意味なものだったもののように思える。それはさておき、一年の頃のクラスには不幸なことにピーナッツアレルギーのクラスメイトが一人いた。その子がみんなでピーナッツまきをしているとき、各教室にはオルガンが置いてあるのだが、この世界は滅亡します、という言葉を聞いたのかのような顔をしてオルガンに隠れていたのを妙に覚えているのだ。そんなほとんど何でもない出来事を五年生になった今でも覚えているとは、人間とはよくわからないものだ。
私は、昔の人々は節分のような行事を大切にしていたのかもしれないけれど、今は時間の無駄みたいに感じてしまうということがわかった。もしかしたら昔は節分に恵方巻きや豆まき以外にも節分の日にやることが多かったのかもしれない。もしそうであるなら、時間が経つにしてめんどうくさい、そんなことをするならほかのことに時間をまわしたい、という人たちが増え、いまの恵方巻きと豆まきだけになったのではないか。このようなことを考えると、今ある行事も500年後なくなっているかもしれない。今はめんどうくさいと思っている行事もなくなってしまえば悲しいものだ。私は、行事ごとはめんどうくさいが、これ以上、行事は消えてほしくないと思った。

   講評   arare

 今年の豆まきがいつもと違っていたことをお父さんには報告しましたか。コンパスまで持ち出して方角を確認するお父さんが、今年の様子を聞いたらがっかりすることでしょう。投げられた豆に同情しているところに、想像力の豊かさを感じます。

 豆のかわりにピーナッツを投げたときのピーナッツアレルギーの友だちの反応を「この世界は滅亡しますということばを聞いたかのような顔をしてオルガンに隠れた」と表現したのはうまいですね。その友だちにとってはピーナッツという言葉だけでもいやだったのでしょう。まして、ピーナッツがそこらじゅうに飛び交う状況は恐怖だったのかもしれません。

 節分の日はひいらぎの葉といわしの頭を戸口に飾って鬼が入ってこないようにするという習慣もあります。面倒くさいと思っても、伝統行事が消えていくのはさみしいですね。


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