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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   制御と管理   すいーとぽてと

自然に対する人間の働きかけには二つの型がある。一つは量についてのもの。もう一つは制御と管理に関するものである。昔から人はいつでも量の不足に悩んできた。そして、技術というものが自然から便益を引き出す方法である以上、技術にはもっと多くという量の要請が最初からつきまとってきた。そして、技術者たちは与えられた任務をあまりに見事に達成したのである。しかし、このあまりの成功は、量の達成という目的そのものを疑う結果を生んだ。人間の欲望は無限であるのに、地球のサイズは有限だったのである。量の問題を解決してみたら、その量を制御するものが不足していることが歴然と見えてきたのである。しかし、いつでも量の問題が優先的に扱われ、制御の方はその後ということで先送りされてきたのが人間の歴史である。私たちの社会では、十分に量的な発展を遂げたのにもかかわらず、いまだに量を中心に考えている点において問題であるといえる。
 その原因として第一に、日本の近代化が欧米化することであり、資本主義という競争社会に突入したことが挙げられる。今、日本は物であふれている。以前は、生活が便利になる商品が新しく開発され、それを買うという人が多かったが、今は皆必要な物は一通り持っていて、十分便利な生活をしているため、これ以上は必要無いのだろう。また最近は経済不況も加わり、商品が売れないことが問題になっている。そのため自動車会社では、近頃話題になっているエコをテーマとした車や、小型車など、より質の高い商品をつくり出し、少しでも消費者側が買いたくなるような車づくりに必死だ。しかし、「より質の高いものを」という考えでも、大量生産には変わりない。車が売れなくなったことで、つくる台数をかなり減らした会社も多い。今度はそれで、労働者をリストラせざるを得ない厳しい現状に苦しんでいる。私は、ワークシェアリングをもっと取り入れるべきだと思う。確かに、給料の問題や、仕事の引き継ぎがうまくいかないなど、考えなければいけない点も沢山あるだろう。しかし、ワークシェアリングを積極的に取り入れている国もある。商品の大量生産のし過ぎで飽和状態である現状を緩和できる可能性は十分にあるし、働きたくても働けない人が減少するだろう。また子育てなど、仕事以外の面でも生活が充実するように思う。日本全体が、競争社会から少し離れることが大切なのではないだろうか。
 そのための原因として第二に、私たちの社会が量的なものを評価する価値観を持っているからだ。私たちは普段、より高級な家に住んでみたいとか、もっとブランド商品が欲しい等、どれだけ金持ちであるかという面に重きを置いているように思う。自然界では、植物があって、それを食べる草食動物がいて、さらに草食動物を食べる肉食動物がいる、食物連鎖の関係がうまく成り立っている。このバランスが崩れると、絶滅してしまう動物が出てきてしまう。日本の人間界では今、生産と消費の関係のバランスが崩れかけている。それは、物質主義的な考え方が社会に浸透し、商品を生産し過ぎてしまったからだ。金銭面で豊かになることを目標とするのも良いと思うが、金持ちになることだけが生活を豊かなものにする方法ではない。本当は、価値観は人それぞれなのだから、お金にしばられずに趣味の世界など、価値観を別のものに向けてみる必要があると思う。
 確かに、世界にはまだ量の不足に悩んでいる国は沢山ある。しかし豊かさとは、量をやみくもに増やしていくことではなく、バランスを考えて生産することで得ることができるものである。だから、これからは制御と管理についてもっと考えていくべきだ。

   講評   kira

 すいーとぽてとちゃん、こんにちは。量を追求して、物が見えず数だけ操るような経済発展の一途をたどった結果が、現在の世界不況です。各国の政府が不況対策という制御に懸命ですが、危機は去りません。増え続けることへの制御があるべきだったのではないでしょうか。

 原因として日本の欧米化意識を挙げました。確かに戦後の日本からみればアメリカのライフスタイルは眩しかったでしょう。大量生産に成功して右肩上がりの時代はバブル経済にうかれました。しかし今、深刻な問題を抱えるのは生産過剰になった業界、自動車業界のような製造業ですね。ここで、ワークシェアリングという新しい提案がなされているのはすばらしいですね。
 量的な評価に傾くことでは、自然科学実例で生態系のピラミッド型のバランスを考えました。自然界は人間界と違って制御が働いているようです。大量発生した個体があれば、それを解消するように動いていきます。
 バランスの悪さは世界中に見られます。貧困や戦乱や教育や食糧、安全。もう量を増やして安心できる段階ではないようです。生産より制御、競争より協調の時代ですね。

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