対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

昨日2356 今日2057 合計11411
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   ノンフィクションVSフィクション   ハーマイオニー

 ノンフィクションの書き手は、在るものを映そうとし、フィクションの書き手は、在らしめるために創ろうとする。フィクションの書き手は、「真実に近づくために創作する」という。しかし、ノンフィクションは、創作しないという約束の上に成り立っている。ノンフィクションのライターに出来ることは、真実の断片を収集することである。ノンフィクションとは、真実の断片による、事実に関するひとつの仮説である。
 事実をありのままに伝えることは大切だと思う。これは、数ヶ月前の話になるが、始業式に新しい先生が何人か来た。その中に、今の私のクラスの数学担当の先生がいた。自己紹介したときの声はあまり覚えていない。眼鏡をかけていなかったので、顔もほとんどわからなかった。が、比較的若い男の先生ということで、女子校なので、たちまち私のクラスでも「わりとかっこいいね〜」などの噂が広まった。私個人としても、その先生の名前の一字が私の好きなアイドルの名前と同じだったので、勝手にイメージを膨らませ、興味を持って授業を待った。その先生の最初の授業は私のクラスだった。入ってきた瞬間、クラス中に笑いが広まった。私は、笑うどころかショックで動けなかった。あまりにも噂と違いすぎる……ちっとも格好良くない……。おまけに授業はわかりにくかった。事実は正確に伝えてほしいものだと、つくづく思った瞬間であった。(苦笑)
 しかし、フィクションの味付けを加えることにより、真実に近づくという考え方もある。私は小説や映画・ドラマ、特にSFやファンタジーが大好きなので、この意見にも賛成だ。例えば、世界的ベストセラーのハリーポッターシリーズは、魔法使いの物語だ。つまり、設定からして、もうまるっきりウソである。だが、イギリスのパブリックスクールをモデルにしたとされる魔法学校を舞台に活躍する、日本で言えば中高生にあたる主人公たちは、決して超人的なヒーロー・ヒロインではない。ごく普通に、恋や友情に悩み、試験に苦しめられながら勉強し、自分の信じる愛と正義のために戦い、成長していく。魔法(それもかなり不十分な魔法)を使えるということ以外、本当にどこにでもいそうな若者たちだ。読者は、魔法や魔法界の不思議な道具や生き物などにも、いつしか違和感を感じなくなる。その世界は、読者の中では「有り」なのだ。そればかりか、ハリーの運命や心情を理解するほど、魔法世界がリアルに感じられる。ハリーやロンやハーマイオニーが身近に存在している気がする。彼らの友情や勇気は、確かに「真実」なのである。
 事実の断片を集めてそれをありのままに伝えようとするノンフィクションの手法にも、フィクションにより真実を描こうとするやり方にも、それぞれの良さがある。しかし、「カメラマンは、レンズのほこりを払うまえに目のほこりを払わねばならぬ」という名言もあるように、最も大切なことは、伝える内容が何であれ、相手に伝えるという行為に責任も持っていくことである。その姿勢に嘘が無ければ、事実にも真実にも近づけるのではないかと思う。(総合化の主題)

   講評   nara

 難しい長文だったけれどよくまとめたね。得意のバレエの話を使わずに、物語を題材にした意欲も、十二分に伝わるぞ!(たぶん、バレエを題材にする方がずっと楽に書けたはずだけれども、敢えて使わなかったと解釈したよ。)字数もたっぷり書けているね。
【構成・題材】第一意見:ちょっぴり担任の先生がかわいそうになってきた。(泣)伝えられたこと・噂になったことは、意図的に事実に反して流れされたのか、そうでなかったのかは別として、事実とのギャップが決してプラスには働かなかったのだね。先生にしてみれば、勝手に伝えられた事実に反することで、評価が下がってしまったとしたら、怒るに怒れないだろうな。これを「ノンフィクションの伝え手」に主眼を置いて考えると、伝え手がどんな意図をもっているか、という点がとても重要になるね。
 第二意見、これはよくまとめられた。フィクション、作られたものは偽物か? そう単純な話ではない。作られたもの・現実には存在しない設定があるからこそ、そこに「有る」世界の本質がより見えてくるということだろうね。長文でいえば「在らしめる」ということでもある。
【表現・主題】自分の目の前のほこりを払わず、レンズを気にする人は、何かあった時に自分ではなくレンズのせいにしそうだね。「行為に責任を持つ」ということは、すなわち自分に責任を持つということに他ならない。それは、この作文でいえば「姿勢に嘘がない」ということになるね。
 「事実にも真実にも近づける」という、一見欲張りなまとめ。実は、このように思い行動することが大切なのだね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)