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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   轍   おむふ

 億劫などころかむしろ造作のないすがすがしさまでも覚えるものである。父が、物心ついた時分から畏敬してるかのごとく丁寧に用いてきた虎の子の鉛筆削りだ。電動とは比べがたい清冽さが宿っている。
 まだ、シャープペンシルなど一度とて手にとったことのない鉛筆を勉強の細君にしていたころのときだ。父が錆びの脈々とひしめく鉛筆削りをゆずってくれた。当然、手回しであり古めかしさをおもわせてならない。もらったばかりの時は煩わしさの元凶に過ぎないとまでかんじていたほどだ。電動をのどから手がでるほど所望したものである。手回しの利点というのが斟酌しがたく半ば手動に対して無頓着であった。友人の家を訪れたさいなどは電動が光沢を纏った宝のように思われ哀願してよくつかわしてもらったものだ。だが煩わしさとは無縁の電動だというのに妙に充足がえられずあたまをかかえる有様。どれほどの速力を誇った車とて土の上にて走れば轍が烙印のごとく現れ生々しくそこにて惰眠に至りねそべるのだ。鉛筆削りの電動とておなじではなかろうか。近頃気がついたのであるが電動のほうが癇癪を生じさせるもののようにおもわれる。当然近代的であり、効率のよいもである。星をみるがために金の楼閣をつくったものの濃霧のごとき暗雲のためなにひとつ目にすることのできなかったといったような心持である。失礼なこと述べるようだが父はもう老体といっていいほどの年である。つまり50年ちかくに及んでこの鉛筆削りは使われ人の手の内にあったのだ。どことなく深さを感じほんのりあたたかみのあるものだ。
 近代的な利器は多くの豊かさをうみすこぶる便利なものであろう。しかし、味わいといったものに欠け冷淡なものとなってしまっている。新しい機械などをもちいるのもいいがその中で自然独特の豊麗さを損なわないようにしなくてはならない。

   講評   koni


 身近なところから実例を挙げることができました。だれにでも想像しやすい実例で、意見文としては効果的ですね。
 
 説明からは、電動鉛筆削りに憧れる幼年時代の様子が強く伝わってきます。車の例を挙げて、新しいものであっても人間が満足するようなものは存在しないのではないか、という疑問を読者に抱かせるような効果があるね。

 そこから、反対意見の理解をして、自分の意見を主張した結ぶに展開していったところがうまい。
 この意見文を読むと、「筆者の言うとおりだな。」と感じる読者が多いと思います。説得力のある意見文にしあがりました。

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